2025年3月4日(火)8:50発表
日本 法人企業統計2024年10~12月期

【1】結果:全般に利益改善が見られた10~12月

【図表1】法人企業統計 前年同期比の推移(金融業・保険業除く、%)
出所:財務省よりマネックス証券作成、設備投資はソフトウェア投資を含む

財務省が発表した四半期別法人企業統計では、2024年10~12月期の企業売上は、前年同期比2.5%増と15期連続でのプラスとなりました。前四半期(2024年7~9月)と比較すると、売上は0.1ポイント伸びが減速するも、営業利益・経常利益は伸びが大きく改善していることがわかります。業種別には、非製造業が前年同期比で増収増益が顕著である一方で、情報通信業等で前年同期に大型の設備投資があった反動から、設備投資はマイナス成長となりました(図表1)。

【図表2】資本金別 2024年10-12月期業績比較(前年同期比、%)
出所:財務省よりマネックス証券作成

資本金レンジごとに経常利益を比較すると、10~12月期は大企業に減速感が見られる一方で、中堅・中小企業の利益が改善しました。7~9月期では、中堅・中小企業が減益であったものが持ち直し、全体を支えたことがうかがえます。売上動向は、半導体やインバウンド関連のサービスは堅調であるものの、業種間でまちまちで鉄鋼や石炭といった資源セクターや情報通信業が減収となり、大企業では影響が大きくなりました(図表2)。

【2】内容・注目点:幅広いセクターでマージンが改善

【図表3-1】製造業 売上高営業利益率の比較(%)
出所:財務省よりマネックス証券作成

2024年10~12月期は広範なセクターで利益効率の改善が見られる結果となりました。売上高営業利益率を前年同期(2023年10~12月期)と比較すると、製造業では輸送用機器と鉄鋼、金属製品を除いたセクターでマージンの改善が見られました。製造業は、半導体関連の需要から化学や電気機械が好調となりました(図表3-1)。

【図表3-2】非製造業 売上高営業利益率の比較(%)
出所:財務省よりマネックス証券作成

非製造業では、情報通信や物品賃貸業のマージン悪化が確認されるも、他セクターでは改善しています。期中は再び円安が進行したことも支え、インバウンド関連が強く、またコンテナ船の価格転嫁等が寄与した運輸・郵便が堅調な結果となりました(図表3-2)。

【3】所感:先行きの設備投資も減速を予想

【図表4】設備投資の推移(季節調整済、前期比、%)
出所:内閣府、財務省よりマネックス証券作成、GDPは1次速報ベース

ソフトウェアを除く設備投資は、前期比0.5%増と7~9月期から減速が見られました。本指標はGDPの2次速報にて用いられることから、図表4からも2指標の歩調が一致していることがわかります。1次速報でGDP民間設備投資は前期比実質0.5%増でプラスに寄与しましたが、2次速報ではマイナスとなる可能性が示唆されるでしょう(図表4)。

日銀短観での企業設備投資計画では、今年度は前期比9.7%増(2024年12月時点)が見込まれており、企業の設備投資需要は大きいと推察されます。しかし今四半期(2025年1~3月期)に目を向ければ、足元の不確実性の高まりを理由に設備投資の先送りが予想されるでしょう。設備投資に関していえば、先行きの数四半期のGDPに対し下押しとなる可能性が高いと考えられます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太