【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 43,191.24  ▼649.67 (3/3)
NASDAQ: 18,350.19  ▼497.09 (3/3)

1.概況

昨日の米国市場は、主要3指数がそろって大幅反落しました。半導体の輸出規制を巡る懸念からエヌビディア[NVDA]が急落したほか、トランプ大統領がメキシコやカナダへの関税措置を4日に発動する方針を示したことで、幅広い銘柄に売りが広がりました。

ダウ平均は59ドル高で取引を開始し、一時192ドル高まで上昇しましたが、ISM製造業景気指数が市場予想を下回ると次第に売りが優勢となりました。軟調な推移が続く中、取引終盤にはトランプ大統領の関税発言を受けて下げ幅が拡大し、一時921ドル安まで急落しました。その後やや持ち直したものの、結局649ドル安の43,191ドルで取引を終え、大幅反落となりました。

また、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は497ポイント安の18,350ポイント、S&P500指数は104ポイント安の5,849ポイントで終了し、いずれも大幅に下落しました。

2.経済指標等

2月のISM製造業景気指数は50.3となり、市場予想と前回結果を下回ったものの、好不調の境目となる50は上回りました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち不動産や生活必需品、ヘルスケア、公益事業の4業種が1%未満の上昇となりました。一方で、7業種が下げ、特に情報技術とエネルギーは3%以上下落しました。また、一般消費財・サービスと素材が2%以上下落し、資本財・サービスとコミュニケーション・サービスが1%以上下落しています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中7銘柄が上昇しました。中でもベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]、コカコーラ[KO]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]が1%以上の上昇となりました。一方、23銘柄が下落し、特にエヌビディア[NVDA]は8%以上の大幅安となりました。また、シェブロン[CVX]、キャタピラー[CAT]、アマゾン・ドットコム[AMZN]は3%以上下落し、ゴールドマン・サックス[GS]、ボーイング[BA]、マイクロソフト[MSFT]は2%以上下落しました。そのほか、アメリカン・エキスプレス[AXP]、ホームデポ[HD]、ユナイテッドヘルス・グループ[UNH]など9銘柄が1%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、イリー・インデムニティー・カンパニー[ERIE]が2月27日の通常取引後に発表した2024年12月通期決算で増収・増益を達成し、増配を発表したことで5%以上上昇し6日続伸となり、S&P500構成銘柄の値上がり率トップとなりました。

また、アプリ開発者向けサービスを提供するアップラビン[APP]は、自社株買いプログラムの購入限度額を変更し、直ちに5億ドルの利用が可能になったと発表したことで3.6%上昇しました。一方、エヌビディアの急落を受け、半導体関連株が売られ、英半導体設計大手のアーム・ホールディングス[ARM]は8%以上下落、ブロードコム[AVGO]は6%以上下落、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]は4%以上下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は前日から0.06%低い4.15%となりました。ドル円は、円高方向に進展し149円台半ばで推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

昨日の米国市場の大幅下落の流れを引継ぎ、本日の日本市場は下落してのスタートが予想されます。こうしたなか、日経平均は下値として心理的節目の3万7000円が意識されます。個別では、昨日の米国市場でエヌビディアが8%以上急落したことを受け、フィラデルフィア半導体株(SOX)指数が4%以上下落していることから、日本市場でも半導体関連株の売りが警戒されます。

また、政治要因としては、トランプ大統領が3日にドル円相場について、円安・ドル高が進みすぎていると問題視する発言をしたことから、足元でも円高方向に進行しており、輸出関連株の重荷となりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)