東京市場まとめ

1.概況

日経平均は108円高の38,251円と反発して寄り付きました。日本市場の寄り付き前に米エヌビディア[NVDA]が良好な決算を発表するも、日本市場への波及は限定的となる一方で、足元の日経平均の底堅さから株価指数先物へ買いが入り、指数を押し上げました。10時4分に227円高の38,369円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩み、一時下げに転じるも56円高の38,198円で前引けとなりました。

後場は13時頃から再び下げに転じ、13時36分に80円安の38,061円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直し、後半にかけて再び上昇すると、少しずつ上げ幅を拡大し最終的には113円高の38,256円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数は小幅安の6日続落で取引を終えました。

2.個別銘柄等

セブン&アイ・ホールディングス(3382)は11.7%安の2,118円をつけ続落となりました。日本経済新聞は、「セブン&アイの創業家が目指している非公開化について、伊藤忠商事(8001)が参画を断念する方向となったことが26日、わかった」と報じ、市場では先行きの不透明感が意識されたことで売りが優勢となりました。一方で、伊藤忠商事は4.3%高の6,774円をつけ反発となりました。

ソシオネクスト(6526)は12.7%高の2,300円をつけ大幅続伸となりました。米グーグルの量子コンピューティング開発部門の子会社と戦略的パートナーシップを結んだと発表したことで、今後の事業拡大を期待した買いが集まりました。

日産自動車(7201)は3.7%高の445.8円をつけ続伸となりました。「内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)を退任させることを視野に調整を始めた」との報道が伝わり、新体制になった際の経営改善期待や、一部では本田技研工業(7267)との経営統合協議が再開されるといった観測から思惑買いが入りました。

東京電力ホールディングス(9501)は一時5.6%安の371.1円をつけ昨年来安値を更新しました。柏崎刈羽原子力発電所6、7号機で進めるテロ対策工事が大幅に遅延するとの見通しを発表し、本格的な原発再稼働が先送りとなり、また収益改善も遠のくとの見方が売りを呼びました。

ソースネクスト(4344)は5.3%高の218円をつけ続伸となりました。子会社であるポケトークが日本語の音声を英語や中国語など最大75言語に同時翻訳するサービスの提供を始めると報じられたことで、今後の業績拡大期待が買い材料となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

エヌビディアは決算発表で、市場予想を上回る業績見通しを示したものの、本日の日本市場での影響は限定的でした。AIや半導体への過度な期待が薄れていることが示唆され、日本の半導体関連銘柄に対しては、より現実に沿った需要や受注動向が従前よりもフォーカスされるでしょう。

明日に向けて、日本では2月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)の発表があり、コア指標では前年同月比2.3%の上昇が予想されています。足元では金利高が株式市場の重石となっていますが、日銀の金融政策に通じる物価指標に注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)