「賢い消費」としてとらえられるリユース
リユース(再利用)市場が拡大を続けている。物価高が続く中で、中古品であっても少しでも安いモノを購入したいという消費者が増加していることや、いわゆるZ世代にはリユース品への抵抗感が薄いなどが要因だ。環境への意識の高まりも追い風との見方もある。
リユース経済新聞によると、2023年のリユース市場規模(推計)は前年比7.8%増の3兆1227億円で、調査対象とした2009年以降14年連続で拡大している。物価高の影響から割安なリユース品への注目度が上昇したことや、訪日観光客によるインバウンド需要増などが要因という。2024年も増加が確実視されており、同紙では2030年に市場規模が4兆円に乗せると予想している。
さらに同紙によれば、日本の総人口は減少していくものの、フリマアプリやリユースショップの利用に抵抗がない「リユースネイティブ」世代が拡大し、リユース品の経験者人口が増加していく見通しだ。
中古品に対する抵抗感が薄れ、新品よりも割安な価格で購入する、購入した商品を売却する消費者の行動が、「賢い消費」としてとらえられるようになった。
1世帯に「眠っている資産」は平均356万円
フリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営しているメルカリ(4385)が2024年11月に公表した『日本の「持ちモノ資産」に関する調査』によると、家庭にあるモノを金額換算した日本の「持ちモノ資産」の総額は216兆3925憶円、一人当たりで平均182.4万円となっている。1世帯当たりでは平均356.0万円で、資産のうち「服飾雑貨」が33.6%で首位となっている。家にある「眠っている“資産”」が流動化していることが市場の拡大を後押ししている面もありそうだ。
発表資料によると、年間約300兆円の個人消費のうち、アパレルやゲーム、本などの持ちモノ関連消費は約20兆円にのぼる。一方、家庭に蓄積される持ちモノ資産の合計は200兆円超と推計。つまり、日本の家庭には1年間の持ちモノ購入の10倍に相当する資産が蓄積されていることになるという。
リセールバリューの意識の変化と流通市場の整理
これまでは自動車や住居のような高額商品に限られていたリセールバリュー(買ったものを再販売するときの価値)の意識が、日用品や趣味のアイテムにまで広がり、流通市場も整ってきている。
リユースは中高年層にも受け入れられるようになってきている。また、リユース企業の中には、日本でのノウハウを活かして、海外に進出する動きも出ている。中長期的にも、市場の拡大が継続する公算が大きい。
リユース関連銘柄をピックアップ
ゲオホールディングス(2681)
映像レンタル大手だが、ゲーム・スマホ・衣料服飾雑貨などのリユースに業態転換中。洋服・バッグ・靴などのファッションアイテムを軸に扱う「2nd STREET」が拡大中。地産地消で運営。2029年3月に国内1,000店舗(前期実績838店)、米国は2028年3月までに100店舗(同35店)が目標。台湾やタイなどにも展開を広げ、リユース業界世界一挑戦を標ぼうしている。
トレジャー・ファクトリー(3093)
2025年に創業30周年を迎えるリユース業界の老舗。家電、家具、雑貨など総合リユース店舗を軸とする一方、衣料、スポーツなどの専門業態店の展開を加速させている。ブランド品やホビー要因などはEC(電子商取引)比率が高い。引っ越しの際に不用品の買い取りを同時に行う「トレファク引越」なども伸びている。
ハードオフコーポレーション(2674)
総合リユース業。47都道府県すべてに出店。買い取った商品を査定点検・クリーニング・修理などを行って店頭に並べる。一部商品には中古保証書を発行し、リユース品にまつわる不安をサポート。2024年11月にグループ1,000店舗を達成。海外にも進出。
BuySell Technologies(7685)
総合リユース。着物など高額品の出張買取に強み。出張買取事業は全国各地に訪問可能で、業界最大規模のビジネスモデルを構築。百貨店内買取「タイムレス」、店舗買取「WAKABA」なども展開。買い取った商品を売るオンラインショップも充実している。M&Aを活用し事業を拡大し、2024年10月には出張訪問買取大手の「福ちゃん」運営企業を完全子会社化。
メルカリ(4385)
国内最大のフリマアプリ「メルカリ」を展開。売上高の大半が販売手数料収入(商品代金の10%)である。簡単に出品、購入できるシステムを整えて急成長。米国に進出も先行投資が続く。写真を撮影しカテゴリーを選ぶだけで、出品に必要な情報をAIが自動入力する「AI出品サポート」の提供を開始。