メガバンクの3Q決算は、そろって大幅増益となりました。増益の勢いをみるため、10-12月の3ヶ月の連結純利益を前年と比べると三菱UFJFGが前年同期比+32%、みずほFGが+28%、三井住友FGは+54%の大幅増。過去最高水準に置いていた通期当期利益計画を3Qまででほぼ達成しています。背景は、国内金利の上昇に加え、手数料利益の拡大、円安による海外収益の膨張等が全行に広がっています。

金利が上昇しつつもまだ低位という今の国内の事業環境は銀行にとって最高です。このバランスが崩れると、貸出が伸びなくなったり、与信費用が増加したり、海外収益の円建て収益が縮小するといったマイナス影響が出てきます。実際、メガバンクの国内貸出の伸びは、政府向け等を除くと、+1-3%程度と名目GDP成長率を下回っています。

念願のPBR1倍もメガバンクはおおむね達成しました。三菱UFJFGは現在1.1倍で、三井住友FGとみずほFGも1倍前後となっています。前回、3グループそろってPBR1倍を上回ったのは10年以上前のことです。

それでも国際的にはまだ低い、という意見も多くみられますが、それは米大手銀行との比較の話。米銀のPBRは、JPモルガンやモルガンスタンレーで2.3倍と高く見えますが、商業銀行は1倍強程度です。欧州大手行にいたっては軒並み1倍を割っています。PERで見ても、日本のメガバンクの12倍前後という水準は、米銀の13~14倍程度と比べて1割程度は割安ですが、以前ほどの乖離はありません。

では、地銀はどうでしょうか。現在の日本の上場地銀の平均PBRは0.4倍です。地元の金利環境等が異なる中での比較は必ずしも適切ではないものの、上場地銀のPBRの平均は米国で1.3倍、欧州でPBRは1.0倍程度となっています。

つまり、日米欧の銀行セクターでPBRを比較すると、日本の大手行は相応の水準まで回復してきたものの、日本の地銀はまだ突出して低い状況です。前回の利上げ局面の2005~2006年頃にはPBRが1倍を超える地銀も多くみられました。資本規制が厳しくなったこと、住宅ローンの競争が激化していること、少子高齢化が一層深刻になっていることなどの問題はあるものの、さすがに相対的に安いのでは、という印象です。

金利がある世界から、「金利が上がる世界」に日本が変貌を遂げた今、地銀セクターにもう一度目を向けてみてはと思います。