一昨日、ブルーノート東京でスティーブ・ガッド・バンドを聴きました。私が小学生の高学年の頃、ラジオで歌謡曲ばかり聴いていた私は、或る時からオリビア・ニュートン・ジョンのようなポップスもラジオで聴くようになったのですが、不満で、様々な音楽を漁るようになったのでした。AMラジオからFMに移り、知らないジャンル、知らない音楽をむさぼり聴きました。そんな時、ふと出逢ったのが、「スタッフ」でした。かっこええ~~~!上手い~~~!全てが新鮮で、私は当時クロスオーバーと呼ばれていたフュージョンにのめり込み、そしてジャズへと傾倒していったのです。ですからスティーブ・ガッドを聴き始めたのは、もう50年前くらいになります。

大学生になるまで本州を出たこともなかった私は、1985年にジャズを聴くために生まれて初めての外国・ニューヨークに行き、ウエストヴィレッジの様々なジャズ屋さんに行ったのですが、一軒、5番街の13丁目というジャズ地帯から離れた静かな所にあったローン・スター・カフェと云う所でスティーブ・ガッドの生演奏を目の前で聴きました。もう40年前になります。確かスタッフのメンバーの誰かとウィル・リーが共演者にいたと思います。

ドスドス!と強いビートのスティーブ・ガッドは、必ずしも私の最大のお気に入りだった訳ではありませんが、あの頃のフュージョン・シーンでは欠かすことの出来ない、時代を具現化したようなドラマーでした。あれから50年、もしくは40年。果たして一昨日聴いたスティーブ・ガッドは、ドスドス!でなくて、ギタリストが作曲したメロディアスな曲を好んで演奏していました。昔とは少し違う芸風です。しかし最後から1曲前の曲では、往年の演奏を充分に思い出させる力強い演奏を聴かせてくれ、会場も私も大ノリになりました。

スティーブ・ガッドは、1945年4月9日生まれ。ほぼ80歳です。カッコいい人生だな。楽しい友人達と良く食べ、良く飲み、良く笑い、そして懐かしい人の今の音楽に酔いしれた一夜でした。