【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 44,713.52 ▼136.83 (1/29)
NASDAQ: 19,632.32 ▼101.26 (1/29)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って下落となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)は、1月29日まで開催したFOMC(米連邦公開市場委員会)にて政策金利を据え置くことを決定しました。また、パウエル議長の記者会見では、インフレについて「幾分高止まり」と指摘し、今後の利下げに慎重な姿勢を示したことから、市場では「タカ派」的な内容と受け止められ、株式は売りが優勢となりました。
ダウ平均は30ドル安で取引を開始した後、すぐに上昇に転じ一時112ドル高まで上げ幅を広げましたが、その後は軟調な展開となりました。午前4時にFOMCの結果が公表されると下げ幅を広げ、一時271ドル安まで下落し、44,579ドルでこの日の安値を付けました。安値を付けた後は持ち直す動きも見られましたが、最終的にダウ平均は136ドル安の44,713ドルで取引を終え、3日ぶりに反落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は101ポイント安の19,632ポイント、S&P500株価指数は28ポイント安の6,039ポイントで取引を終え、いずれも反落となりました。
2.経済指標等
FRBは1月28日から29日にかけて開催したFOMCで、政策金利を据え置くことを決定しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうちコミュニケーション・サービスや生活必需品、公益事業、エネルギーの4業種が小幅に上昇となりました。一方で、7業種が下落となり、特に不動産と情報技術が1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中銘柄が16銘柄上昇しました。特に、ナイキ[NKE]が3%近く上昇したほか、アイビーエム[IBM]が1%以上上昇し、ウォルト・ディズニー[DIS]が1%近く上昇しました。一方で、14銘柄が下落し、なかでも米ブルームバーグ通信が、トランプ政権がエヌビディア[NVDA]に対し、中国向けの販売規制を強化することを検討していると報じた影響で、エヌビディアは4%以上下落しました。また、ボーイング[BA]は2%以上下落し、セールスフォース[CRM]やホームデポ[HD]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、マイクロソフト[MSFT]は1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディング[ASML]が、第4四半期決算にて、新規受注が市場予想を大きく上回るなど好調な決算を公表したことを受けて、4.3%上昇しました。これを受け、その他の半導体製造メーカー株も連れ高となっています。また、スターバックス[SBUX]は、第1四半期決算にて、減収減益となるも市場予想ほどではなく、株価は8.1%上昇しました。一方で、ワクチン開発のモデルナ[MRNA]は、アナリストによる投資判断と目標株価の引き下げにより、9.4%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日から横ばいの4. 53%となりました。ドル円は、155円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場は、パウエル議長がFOMC後の会見でインフレの高止まりを指摘し、今後の利下げに慎重な姿勢を示したことから、売りが優勢となりました。また、エヌビディアは、トランプ大統領が同社に対し中国向けの販売規制を強化するとの報道を受け、大幅に下落し、相場を押し下げる要因となりました。この流れを引継ぎ、本日の日本市場では軟調なスタートが予想されます。
一方で、個別銘柄では、エヌビディアの下落が重しとなるものの、オランダの半導体製造装置メーカーASMLが好決算を発表したほか、アドバンテスト(6857)が29日引け後に発表した決算で通期連結業績予想の上方修正を行ったことから、日本市場でも一部の半導体製造装置関連銘柄の上昇が期待されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)