12月11~13日のローソク足は天井サインか

日経平均は先週、12月12日の取引時間中に一時4万円を回復しました。その日はチャート上で前日から大きなマドを形成し、日足のローソク足はほぼ安値引けとなる「上ヒゲを伴う小陰線」で終えました。一方、13日はマドを開けて下落し、陰線が続く格好となりました。その結果、12月11~13日の3日間のローソク足の組み合わせが、真ん中にふたを閉めたような頭があり、両サイドにマドが開く、状態になりました。

これによって、「アイランドリバーサル(離れ小島)」や「宵の明星」となり天井サインが点灯した、10月11~16日までの3日間や7月10~12日の3日間と同じパターンだから警戒が必要だ、というコメントをみかけます。

たしかに、12日の動きは「離れ小島」に見えるでしょう。ただ、宵の明星の説明には、「上昇トレンドが続いた後などに陽線が出現し」という重要な前段の説明があった後に、「マドを開けて上に放れて短小線あるいは十字足となり、続けてマドを開けて下に放れて陰線となる3本の組み合わせ」と続きます。

近視眼的な「点」だけではなく、「線」で相場の流れを把握する

天井サインという場合、3日間の組み合わせが出現する前に上昇トレンドとなっていないと違和感があります。7月10~12日の3日間は別にしても、今回の3日間のパターンの前に上昇トレンドがあったかというと、たいしたものはなく、10月以降はボックス相場の域を脱していません。天井は1年に何度も出るものではありませんし、4万円は2024年に何度か経験した水準です。10月の3日間の組み合わせの後のように短期的な下落につながる可能性はありますが、天井という表現には違和感があり、ミスリードとなりかねません。

どのような分析手法でもいえることですが、テクニカル分析は分析力次第で予測精度が異なります。数値的判断も重要ですが、視覚的に相場状況を把握し、視覚的に投資判断をすることが予測精度を上げることに重要な要素となります。3日間という近視眼的な「点」だけで相場判断するのではなく、それまでの相場の方向性や出来高などを総合的に加味し、「線」で相場の流れを把握することが重要です。

天井サインといわれる「三尊天井(3つの山)」などのパターン分析もそうです。長い下落相場の底値圏に近い水準で現れた3つの山に対して、「三尊天井」になったから天井サインだ!といわないようにしましょう。