東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は、続落となりました。取引時間中に、トランプ次期政権下における人事発表が保護主義を強めるものとされリスク回避の売りが目立ちました。114円安の38,327円で取引を開始した日経平均は、寄付き後は下げ渋る場面が見られるも10時以降は軟調に推移しました。またドル円相場が152円近辺まで円高にふれたことも重荷となり前場は276円安の38,165円で取引を終えました。

後場では、トランプ次期政権の人事関連の報道が、関税等でより保護主義を推進するとの懸念が膨らみ、下げ幅を拡大し14時過ぎには本日の安値である453円安の37,988円をつけました。しかし38,000円を切る水準では押し目買いが入り底堅さを示し、最終的には307円安の38,134円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が続落、0.2%安となりました。

2.個別銘柄等

オリエンタルランド(4661)が一時、6.5%高となり大幅反発となりました。発行済み株式総数の1.09%にあたる1,800万株、618億円の自社株買いを実施したことが株価を支えました。また、同社の大株主である京成電鉄(9009)が自社株買いに応募し、アクティビストから要求されている政策保有株も削減されたことが評価され、5.0%高、3日続伸となりました。

ドル円相場が円高で推移したこともあり、完成車メーカーは軒並み下落しました。マツダ(7261)が5.5%安、日産自動車(7201)が4.7%安、三菱自動車工業(7211)4.8%安、トヨタ自動車(7203)は3.6%安で取引を終えました。自動車関連銘柄は、米国向け輸出品を隣国メキシコで生産しているメーカーが多く、関税リスクが重石となっています。

ダイドーグループホールディングス(2590)が12.9%高をつけ4日ぶり大幅反発、年初来高値を更新しました。また本日の東証プライム市場で値上がり率トップとなっています。26日発表の第3四半期決算にて、累積営業利益が前四半期から一転して増益となったことが評価されました。

サンリオ(8136)が株式の売り出しを発表したことに伴い、目先の需給懸念から一時16.6%安と大幅反落となりました。売り出し株数は最大で約2,587万株とされ、自社株を除いた発行済み株式総数の12.6%とされています。

その他の銘柄では、米国の対中関税強化で、中国企業の設備投資低迷が長期化するといった懸念からファナック(6954)が4.9%安で続落、前日に年初来高値を更新していた古河電気工業(5801)が4.7%安で大幅安となりました。古河電気工業は10月の終値から前日までに59.8%上昇していました。

VIEW POINT: 明日への視点

日本市場は米国の対中関税懸念やドル円相場の円高推移を受けて、終日軟調に推移しました。今週は米国市場において、28日が感謝祭のため休場、29日は取引時間が短縮されるため、海外勢の動きも限定的と考えられます。明日にむけて、米国では10月のPCE価格指数(PCEデフレーター)が発表されます。

市場ではコア指数の前月比が0.3%上昇で伸び率は前月から横ばい、前年比が2.8%上昇で前月から0.1ポイント上昇と、横ばいからわずかに上昇を予想しており、ターゲットからは依然距離がある中で、市場予想比で上振れた際のリスクオフが懸念事項と考えられます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)