主要株価指数は軒並み史上最高値を更新
トランプ大統領再任、議会も上院を共和党が奪還。下院選は、最終結果が出るまでには1週間ほどかかる可能性があるようですが共和党が優勢であり、トリプルレッドとなる公算が高いことから米大統領選翌日の11月6日、米国株は急伸、ダウ平均、S&P500、NASDAQ100など主要株価指数は軒並み史上最高値を更新しました。米長期金利も跳ね上がり4.479%まで上昇、米ドル/円相場は154.70円台まで上昇しました。
7日、急激な円安を受けて三村財務官は「為替市場の動向は足元では一方的で急激」「行き過ぎた動きに対しては適切な対応をとっていきたい」と為替市場への牽制発言を行っています。このまま米金利は上昇を続け米ドル/円相場は再び160円台を目指すのでしょうか。
10年間で7.5兆ドルもの財政赤字拡大という試算
米シンクタンクのCRFBはトランプ氏再任なら、トランプ減税の税制改正法の恒久化や、移民の強制送還、関税強化などの政策によって、今後10年間で7.5兆ドルもの財政赤字拡大となると試算しています。
ハリス氏の3.5兆ドルの2倍超となる試算であることから、この試算が発表された10月7日以降、トランプ氏優勢の予想が広がるに連れ、トランプトレードが金融市場でのトレンドとなったのです。米財政赤字拡大=国債発行額増加=債券市場の需給悪化=金利高、そしてインフレとなるという見方も金利上昇要因ですね。
トリプルレッドとなれば、トランプ氏の掲げる公約の実現度は高く、確かにインフレへの警戒は強まっています。しかし、インフレというのは景気が良い事が前提で起きる事象であり、景気後退期には消費マインドも低下し物価上昇は抑制的となります。
米政策金利は利下げサイクルに
足元では米経済はしっかり推移しておりリセッション警戒は後退していますが、長期失業者の増加、地方銀行の負債と破綻、商業用不動産ローン問題など2025年の米景気後退懸念を指摘するエコノミストもいます。
FRBは9月から利下げを開始しています。9月は、予防的利下げとしては異例の0.5%幅、11月は0.25 %の利下げでした。景気後退に陥らぬようFRBが利下げサイクルに入ったため問題ないと見ることもできますが、景気後退懸念が強ければFRBは更に利下げピッチを早める可能性も大きく、政策金利の低下に対し市場金利だけがトランプトレードで上昇していくことは考えにくいのではないでしょうか。
また、今後10年で7.5兆ドルの財政赤字拡大の試算がされていますが、全ての政策が一気に実現するわけではありません。米ドル/円相場が再び160円台に乗せるような円安米ドル高となるのは、本格的な米国のインフレ再燃リスクが高まった時であり、足元はトランプ再任に向けて加熱したトランプトレードの巻き返しによる金利低下で米ドル/円相場の上昇も一服するのではないか、と考えています。