【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,141.54 ▼91.51 (10/30)
NASDAQ: 18,607.93 ▼104.82 (10/30)
1.概況
米国市場は主要3指数が揃って下落しました。寄り付き前に公表された経済指標では、10月の米ADP雇用者数が市場予想を上回ったほか、第3四半期の米実質GDP(国内総生産)速報値は前期比の年率換算で2.8%増となりました。実質GDPは市場予想こそやや下回ったものの、個人消費が予想を上回るなど、概ね米国経済が堅調であることが示されました。この結果を受け16ドル高でスタートしたダウ平均は一時224ドル高まで上げ幅を広げました。
しかし、長期金利が上昇し相場の重しとなったほか、半導体セクターが弱く、上値が抑制され下落に転じました。米雇用統計や米大統領選挙、FOMC(米連邦公開市場委員会)など重要なイベントを目前に控える中で、調整売りなども見られ、終盤にかけてやや下げ幅を広げ、結局91ドル安(-0.21%)の42,141ドルで取引を終え、続落しました。
また、S&P500株価指数は、19ポイント安(-0.33%)の5,813ポイントで取引を終え、3日ぶりに反落となりました。ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は、半導体の下落の影響を受け、104ポイント安(-0.56%)の18,607ポイントで取引を終え、5日ぶりに反落しました。
2.経済指標等
7-9月(第3四半期)の米実質GDPの速報値は、前期比で年率2.8%増となり、市場予想(3.0%増)と前四半期(3.0%増)を下回りました。個人消費は3.7%増で市場予想(3.2%増)を上回りました。また、10月の米ADP雇用者数は前月比23.3万人増と、市場予想(11.0万人増)と前回結果(15.9万人増)を上回りました。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は、全11業種のうちコミュニケーション・サービスや金融、不動産などの6業種が上げ、なかでもコミュニケーション・サービスは1%近く上昇しています。一方で、情報技術や生活必需品、公益事業などの5業種が下げ、情報技術は1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では12銘柄が上昇し、なかでも第4四半期決算を公表したビザ[V]は、EPS(1株当たり利益)が市場予想を上回り、2025年度のガイダンスも十分との評価から、3%近く上昇しました。そのほか、アメリカン・エキスプレス[AXP]やメルク[MRK]、アマゾン・ドットコム[AMZN]などが1%以上上昇しました。一方で、18銘柄が下落し、なかでもアイビーエム[IBM]やインテル[INTC]、ナイキ[NIKE]、キャタピラー[CAT]は2%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、検索エンジン「Google」を運営するアルファベット[GOOGL]が第3四半期決算で売上高とEPSが市場予想を上回ったことで、2.8%上昇しました。また、掲示板型SNSサービスを提供するレディット[RDDT]は、第3四半期決算で売上高が市場予想を上回り、IPO(株式公開)後、初の黒字化を達成し42.0%上昇しました。
スナップチャットを運営するスナップ[SNAP]も第3四半期決算で売上高とEPSが市場予想を上回り、15.9%上昇しました。一方で、製薬会社のイーライリリー・アンド・カンパニー[LLY]は、第3四半期決算で売上高とEPSが市場予想を下回り6.3%下落しました。
また、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]は、第3四半期決算で市場予想通りの実績となるも、第4四半期決算のガイダンスが物足りず、10.6%下落しました。チポトレ・メキシカン・グリル[CMG]は、第3四半期決算で13%の増収を達成するも市場予想には届かず、7.9%下落しました。
5.為替・金利等
長期金利は0.05%高い4.30%となりました。ドル円は153円台前半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株安を受けて、下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は、日銀の金融政策決定会合の結果公表を控えるなか様子見の動きとなりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)