モトリーフール米国本社 – 2024年10月14日 投稿記事より
ウォール街のアナリストが楽観視する3銘柄
ウォール街のアナリストは、大幅な株価上昇が見込まれる注目の3銘柄の目標株価を最近引き上げました。ビル・テクノロジー会社のジョンソン・コントロールズ・インターナショナル[JCI]は、炭素排出量削減と建物のエネルギー効率向上における主力企業です。リチウム採掘企業のアルビマール[ALB]は、電気自動車(EV)の生産台数の増加に伴って見通しの改善が見込まれます。屋根、断熱材、扉などを手掛けるオーウェンス・コーニング[OC]は、住宅市場の回復から恩恵を受けると予想されます。それぞれの企業について動向を確認してみましょう。
ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル[JCI]:短・中・長期的に成長が見込まれる
先日、JPモルガン・チェース[JPM]とジェフリーズ・ファイナンシャル・グループ[JEF]のアナリストは、ジョンソン・コントロールズ・インターナショナルについて、2025年の堅調な利益見通しと商業向け部門の受注残の増加を理由に目標株価を引き上げました。
今回の目標株価の引き上げは、同社に対する多面的な投資根拠を浮き彫りにしています。ジョンソン・コントロールズの冷暖房空調(HVAC)システム、ビル制御、ソフトウェア、一連のOpenBlue接続ソリューションを活用することで、ビルのオーナーは建物のエネルギー効率向上と排出量削減が可能になります。多くの商業ビルオーナーが長期的に温室効果ガス排出量の「ネットゼロ」目標を掲げていることを考えると、同社の長期的成長は確実と思われます。
データセンター需要は、急増する人工知能(AI)アプリケーション・ニーズに対応する同社のテクノロジーへの需要が高まっていることから、中長期的に成長機会が見込まれるでしょう。
また、短期的に見ると、CEOの交代と現在進行中のリストラによって事業の焦点が絞られ、ガイダンスの達成実績が高まる可能性があります。同社はすでに、住宅および小規模商業施設向けのHVAC事業を81億ドルでボッシュに売却することを発表しています。さらに同社は、ADTアラーム事業の売却先を探しているとの報道もあります。
ジョージ・オリバー現CEOは後任が決まり次第退任することを表明しており、またリストラが進行中であることから、市場はジョンソン・コントロールズの株価を再評価する可能性があります。
アルビマール[ALB]:EV用リチウムバッテリーの成長が追い風に
EV用バッテリーに使用されるリチウムの限界需要は、リチウム化合物の価格、ひいてはアルベマールの売上高や利益を左右する重要な原動力の一つです。これは、ウェルズ・ファーゴ[WFC]のアナリストが先日、アルビマールの目標株価を100ドルから110ドルに引き上げた一因でもあります。
経済を活性化させようとする中国の景気刺激策を受けて、EV需要が増加し、結果的にバッテリー生産量、ひいてはリチウム需要の増加が見込まれます。EV販売台数が予想を下回り、自動車メーカー各社によるEV投資が削減され、EVの生産見通しが引き下げられていた2024年において、これはポジティブな展開でしょう。
とはいえ、アルビマール株をめぐる議論はリチウム需要やEV販売台数だけではなく、リチウム供給も重要なポイントです。EV需要の見通しが明るくても、供給の伸びが需要を上回っていたら、それは懸念材料となります。国際エネルギー機関(IEA)などの主要機関から、発表済みのプロジェクトによる供給データに基づいて供給不足の可能性を指摘する多くの報告書が発表されていますが、実際には、リチウム生産の拡大をめぐって多くの関心が寄せられています。
実際、チリ、オーストラリア、中国、カナダ、米国といった主なリチウム生産国は、生産能力の拡張に積極的に取り組んでいます。欧州では、鉱業大手のリオ・ティント[RIO]が、セルビアでのリチウム鉱山の大規模開発に向けて積極的に活動しています。現状においては、地球上にリチウムは不足していません。つまり、リチウム価格の長期的な見通しとアルベマールの長期的な成長見通しは、確実とは言い難い状況です。
オーウェンス・コーニング[OC]:住宅市場の回復がカギを握る
ウェルズ・ファーゴは先日、オーウェンス・コーニングの目標株価を165ドルから175ドルに引き上げました。理由は住宅セクターの最近のアウトパフォームでこの点はプラス材料です。但し、一方でウェルズ・ファーゴはやや警戒感も抱いているようです。
投資において、エンドマーケットが厳しい企業の株式を買うのは勇気が要ります。同様に、企業の経営陣も、エンドマーケットが厳しい時に他社買収に踏み切るのは難しいと考えます。市場の歴史には、恐怖心理が漂っている時に買いのチャンスを逃した例がいくつもあります。
しかし、オーウェンス・コーニングは2024年初めにこのような好機をうまく捉え、内装・外装ドアメーカーのメゾナイト・インターナショナルを買収しました。この取引は大成功と言えるかもしれません。オーウェンス・コーニングは自社の製品ポートフォリオに補完的な製品を追加し(同社の屋根や断熱製品を購入する顧客はドアも購入します)、北米の住宅市場におけるエクスポージャーを高めることができました。
そのため、低金利環境によって住宅市場が回復すれば、オーウェンス・コーニングにとっては好材料です。また、オーウェンス・コーニングが今回の買収で目標としている1億2,500万ドルのシナジー効果を達成できたとします。その場合、同社はメゾナイトを、住宅市場サイクルの底で利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)のわずか6.8倍で買収したことになります。つまり、オーウェンス・コーニングは、住宅市場の強気派にとって絶好の買い銘柄かもしれません。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。JPモルガン・チェースは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。ウェルズ・ファーゴは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Lee Samahaは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、JPモルガン・チェース、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル、オーウェンス・コーニングの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。