今週(10月4日~10月10日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):中東リスクや中国株の乱高下を背景に上値の重い展開

ビットコインは、中東リスクや中国株の不安定な動きを背景に、上値の重い展開となった。

10月4日に発表された9月の米雇用統計は市場予想を大きく上回る結果となり、米国経済のソフトランディング期待が高まった。しかし、その一方で、大幅な追加利下げの可能性が低下し、ビットコインは方向感に乏しい状態となった。

その後、トランプ氏の演説にイーロン・マスク氏が応援に駆けつけ、予測市場でトランプ氏が優位に立つと、トランプ氏勝利への期待でビットコインは上昇した。また、ビットコイン現物ETFの資金流入もプラス材料となり、BTC=954万円(64,000ドル)付近まで値を伸ばした。

しかし、ハマスによるイスラエル襲撃から1年が経過した10月7日にイスラエル首相が戦闘継続の意志を表明すると、中東情勢の悪化が警戒され、ビットコインは売り圧力が強まった。加えて、米国の当局者発言やFOMC議事要旨により追加利下げ観測が後退し、米国金利が上昇したことも相場に悪影響を与えた。さらに、国慶節後の中国株の乱高下に伴い、市場全体でリスクオフの姿勢が強まり、ビットコインはBTC=901万円(60,500ドル)付近まで下落した。

来週(10月11日~10月17日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は様々な懸念材料が重なる中で上昇余地は限定的か

米国における大幅利下げ観測の後退や、イランとイスラエルの対立激化、中国経済の減速懸念が重なり、世界的なリスクオフの動きが広がっている。また、米国大統領選挙ではトランプ氏とハリス氏の支持率が拮抗しており、政治的な不透明感も続いている。これらの要因により、ビットコインを含むリスク資産への需要は引き続き抑えられる可能性がある。大きな下げも考えづらいが、今ある懸念材料が解消されないことにはビットコインの上昇余地は限定的となるだろう。

一方で、HBO(ホーム・ボックス・オフィス:米国の有料ケーブルテレビ放送局)がビットコイン創設者「サトシ・ナカモト」の正体に関するドキュメンタリーを公開し、世間の注目を集めることでビットコインに対する投資家の関心を呼び起こす可能性がある。また、FTXグループの破産計画が承認となり、今後予定されている弁済資金が将来的な買い圧力になることも期待される。さらに、ビットコインのステーキングを実現するバビロンが2000億円超のビットコインを集めたことも注目であり、このようなビットコインを活用した新しい金融サービスの利用が拡大する中で価格が上昇することも考えられる。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=968万円(65,000ドル)、下値はBTC=864万円(58,000ドル)を意識する。