2024年9月24日(火)23:00発表(日本時間)
米国 コンファレンスボード消費者信頼感指数

【1】結果:現況指数、期待指数いずれも低下し消費者マインドの落ち込みを示す

9月の米消費者信頼感指数は、98.7を記録しました。市場予想(104.0)と前回結果(105.6)を大幅に下回り、消費者マインドに落ち込みが見られました。

【図表1】米国消費者信頼感指数結果まとめ
出所:The Conference Board、Bloombergよりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:労働市場の評価は軟化傾向継続

米消費者信頼感指数とは、全米産業審議委員会が5,000人の消費者に対して、現状(経済、雇用の2項目)と6ヶ月後の予想(経済、雇用、所得の3項目)について調査し、指数化したものです。個人消費がGDPの約7割を占める米国では、その数値に注目が集まります。また、図表2の通り、景気後退時には、本指数が急激に落ち込む傾向にあり、景気動向の判断にも用いられます。

【図表2】消費者信頼感指数の推移
注:シャドーは景気後退期
出所:The Conference Board、Bloombergのデータを基にマネックス証券作成

そして、9月の消費者信頼感指数は、2021年8月以来最大の低下を記録し、過去2年間、狭いレンジで推移してきた範囲の底付近まで下落しました。

内訳を見ると、現況指数は9月に124.3となり、7月の134.6から急低下しました。現況指数(図表2の灰色バー)は、7月まで下向き傾向にありましたが、8月には反発して回復の兆しを見せました。しかし、9月は再び急低下し、下落トレンドが継続しています。

また、期待指数(図表2の黄土色バー)も9月に81.7となり、8月の86.3から低下しました。ただし、景気後退の指標とされる80は、3ヶ月連続で上回っています。

一方で、消費者の労働市場に対する評価は軟化傾向が続いており、労働市場の冷え込みに関する懸念が広がっています。市場では、労働市場の強さを測る指標として、「雇用は十分にある」と回答した割合と「仕事を見つけるのが難しい」と回答した割合の差に注目が集まりますが、図表3の通り反転させたグラフは上昇基調にあり、労働市場が徐々に軟化していることがうかがえます。

過去の動向から、この指標は失業率と同様のトレンドを示すことが知られており、10月4日(金)に公表される9月分の雇用統計でも失業率のさらなる上昇が懸念されます。

【図表3】失業率と「雇用が十分にある」と「仕事を見つけるのが難しい」の回答の差の推移
※シャドーは景気後退期
出所:米労働省、The Conference Board、Bloombergのデータを基にマネックス証券作成

 【3】所感:個人消費の減速が懸念されるが消費者心理の水準は依然として健全、来月以降は利下げの影響にも注目

今回の結果は、米国の消費者マインドが市場予想以上に落ち込みを見せ、また、労働市場の評価も悪化を示したことから、景気後退懸念がやや広がる結果となりました。消費者マインドは、実際の個人消費動向に影響を与えるとされているため、米国経済を支えてきた個人消費の今後の減速が想定されます(図表4)。

【図表4】消費者信頼感指数と個人消費の推移
※消費者信頼感指数と米国の個人消費(実質GDP,前年比%)の動きをみると、二つのトレンドはフォローしていることが確認できる。
出所:米国商務省、The Conference Boardよりマネックス証券作成

一方で、確かに消費者信頼感指数は低下傾向にあるものの、景気後退期を除く通常時の平均値97.8(図表2の赤色点線を参照)は上回っており、現時点では消費者心理の悪化に伴う景気後退について過度に懸念する水準ではないといえるでしょう。※ここからさらに景気後退期の平均値72.3(図表2の緑色点線参照)に向かって低下が続く場合には、景気後退懸念がより意識されるようになります。

また、今回の9月の消費者信頼感調査は、9月18日のFOMCで0.5%の大幅利下げが決定される前に実施されたため、利下げの影響は反映されていません。来月以降の調査で、利下げによる消費者心理の回復が見られるか注目です。

フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐