2024年9月25日(水)8:50発表
日本 企業向けサービス価格指数2024年8月

【1】結果:市場予想をわずかに上回るも、前年比は横ばいの2.7%増

【図表1】2024年8月 企業向けサービス価格指数の速報値
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

2024年8月の企業向けサービス価格指数は、前年比2.7%増と市場予想をわずかに上回る結果となりました。前回7月の公表値(改定値)からは横ばいで、グラフからも6月につけた3.1%をピークに鈍化傾向がうかがえます(図表2)。実際に前月比でも0.1%増と前回から勢いを落としていることが見受けられます。

【図表2】企業向けサービス価格指数の推移(前年比、前月比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:構成系列間でまちまちな内容

内訳をみると、多くの高人件費サービスで構成される「諸サービス」は2024年に入り、3%台で推移するなど堅調な一方で、直近では「輸送・郵便」、「情報通信」、「リース・レンタル」は低下基調が続いています(図表3-1)。上述の3系列が縮小傾向であるものの、諸サービスと広告・関連サービス業(図表3-2)が上昇することでヘッドラインである、企業向けサービス価格指数の前年比は2%後半と堅調に推移しています(図表4)。

CPIのサービスが縮小傾向である一方で、企業間のサービスは、堅調に推移していることはポジティブな内容であると考えられます。

【図表3-1】企業向けサービス価格指数 構成系列の推移(前年比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成
【図表3-2】企業向けサービス価格指数 構成系列の推移(前年比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成
【図表4】企業向けサービス価格指数前月比の寄与度分解(前年比、%、%ポイント)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

【3】所感:低人件費サービスは輸入物価の落ち着きを経て、鈍化か

人件費率毎に分類した、サービス価格も堅調さが確認できる内容でした。高人件費サービスは、水準を切り上げて2024年は平均2.7%で推移しており、給与の上昇に寄与していると考えられるでしょう。一方で、低人件費サービスはサービスに分類される系列の中でも外食などで構成され、輸入コスト等の影響が大きいものです。足元では輸入物価のピークアウトが確認でき始め、今回8月の低人件費サービスも低下が確認されました(図表5)。

【図表5】高人件費率サービス・低人件費率サービス(前年比、%)
出所:日本銀行よりマネックス証券作成

9月20日に掲載した全国CPIのレポートにて、サービスの鈍化を深堀しましたが、サービスを構成する系列のうち、価格転嫁率の低い業態などは、企業向けサービスにおいても縮小していく可能性があるでしょう。しかし、悲観する内容ではなく、引き続きサービス価格が堅調に推移することに期待したいと思います。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太