東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は4日続伸となりました。447円高の38,171円で寄り付いた日経平均は10時20分前に703円高の38,427円まで上昇しましたが、節目の38,500円を前に伸び悩むと251円高の37,974円で前場を終えました。

238円高の37,962円でスタートした後場の日経平均は後場寄りから5分で179円高の37,902円まで上げ幅を縮めましたが、その後も堅調に推移すると結局216円高の37,940円で取引を終えています。

一方で新興市場は安く東証グロース市場250指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

日立(6501)が一時6.5%高となり上場来高値を更新しました。米エヌビディア[NVDA]と共同で鉄道のレールや架線、信号機などのインフラの安全性を検査するシステムを開発したと発表したことを材料視した買いが入りました。

さくらインターネット(3778)も一時13.5%高となりました。クラウドサービスが予想より好調に推移していることや、電力費の増加が想定を下回る見込みとなったことなどから8億円とみていた上期の営業利益の見通しを11億円に上方修正したことで買いを集めました。

ネット広告のセレス(3696)も22.7%上昇しストップ高となりました。100株以上保有する株主を対象に、10,000円相当の暗号資産を贈呈する株主優待制度の実施を発表したことで買いを集めました。

領空侵犯したロシア軍の哨戒機に対し、緊急発進した航空自衛隊機が強い熱と光を発する「フレア」を用いた警告を初めて実施したと防衛省が発表したことから防衛関連株も買われました。三菱重工業(7011)が一時5.6%高、IHI(7013)が一時5.5%高、川崎重工業(7012)も一時3.3%高となり、IHIは年初来高値を更新しました。

また、投資判断と目標株価の引き上げを受けて積水ハウス(1928)や栗田工業(6370)が高く、積水ハウスが一時3.0%高となり上場来高値を更新したほか、栗田工業も一時5.7%高となりました。

さらに東証スタンダード市場ではわかもと製薬(4512)やPKSHA Technology(3993)が大幅高となりました。わかもと製薬は厚生労働省から眼内レンズ「アクリバトリノバ Pro」の製造販売承認を取得したと発表したことで一時32.8%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。

AI(人工知能)開発などを手掛けるPKSHA Technologyも東京証券取引所が市場区分を27日付でプライム市場に変更すると発表したことで一時12.5%高となっています。

一方で第一三共(4568)が一時6.2%安となりました。乳がん患者を対象とした新薬候補「ダトポタマブ デルクステカン」の第3相臨床試験で主要評価項目である全生存期間に関し、統計学的に有意な改善がみられなかったと発表したことで売りが優勢となりました。

島精機製作所(6222)も一時10.2%安となり年初来安値を更新しました。景気回復の遅れから主力の中国市場で第1四半期以降も内需向けのホールガーメント横編機等の設備投資需要が回復していないことなどを理由に、5億円の黒字とみていた上期の営業損益の見通しを21億円の赤字に下方修正したことから大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は216円高となりました。円安に加え、昨日の米国市場でダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。

しかし、一時700円以上上昇し75日移動平均線(38,291円)を上回る場面もありましたが、買い一巡後に伸び悩むと75日移動平均線を下回って取引を終えました。そのため75日移動平均線が上値抵抗線として意識されそうです。

なお、日本時間の23時には9月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)