エヌビディア[NVDA]決算、アナリストのコンセンサス予想を上回ったが、サプライズはなし

先週(8月26日週)の米国株市場の注目はエヌビディア[NVDA]の決算発表でした。文字通り倍増、アナリストのコンセンサス予想を上回るものでしたが、投資家を驚かすほどのサプライズがなかったことを受け、先週同社の株価は7.7%下落しました。

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エヌビディアの株価は、6月後半から調整をし始めました。図表1はエヌビディアが高値をつけた後の下落率を示したもので、節目節目で同等程度の株価の調整があったことがわかります。

【図表1】高値からの下落率(2014年8月~2024年8月)
出所:Bloombergからマネックス証券作成

今回の決算発表はポジティブサプライズのない発表でしたが、ここでエヌビディアの成長が止まることを示唆するものはありませんでした。先週末時点でのブルームバーグ集計のエヌビディアの平均目標株価は148ドルとなっており、アナリストの平均では株価は24%のアップサイドが予想されています。

幸いにもエヌビディア・ショックと呼ばれるような市場全体の下落にはつながらず、S&P500は先週0.2%の上げとほぼ横ばいとなりました。つまり、この理由はこれまでのエヌビディアを筆頭とするマグニフィセント7(※)銘柄に対する注目だけでなく、市場の裾野が広がっているからです。先週(8月26日週)のS&P500のセクターのパフォーマンスをみると、エネルギー、金融、素材セクターが上昇しています。また、先週はS&P500イコールウエイト指数も0.83%上昇、時価総額加重型のS&P500のリターンを上回りました。

米大統領選絡みの不確実性に要注意

早いものでもう9月に入りました。米国株は毎年9月に弱含む傾向にあります。S&P500が9月に上がる確率は43.8%しかなく、平均リターンはー1.2%です。2024年は大統領選挙の年ですが、この場合いつもと違うパターンが散見されます。大統領選挙の年の9月にS&P500が上昇する確率は50%、平均リターンはー0.46%と通年より若干良いものの、上がりにくいことには変わりないようです。

図表2は大統領選挙の年のS&P500の最初と最後の10日間の推移を示したデータです。大統領選挙の年の9月のS&P500は最初の10日間により下がる傾向にあります。

【図表2】S&P500 大統領選挙年のリターン(月初・月末10日間(9月/年平均))1928年以降
出所:BofAよりマネックス証券作成

大統領選挙まで残すところ後2ヶ月となりました。大統領選挙の年は、7月から選挙が行われる11月まで市場のボラティリティ(価格変動率)が高まってくる傾向にあります。選挙を直前にして各候補の公約などのレトリックスが激しくなり、市場に不安を与えるのでしょう。FRBによる利下げは長期的に企業業績や市場にはポジティブだと思うものの、大統領選挙絡みの不確実性を考えると米国株投資家は11月まではシートベルトをしっかり締めておく必要がありそうです。

【図表3】米大統領選挙年の月間平均ボラティリティ(1928年~2020年)
出所:BofAからマネックス証券作成
S&P500の日次リターンの月平均ボラティリティ、1990年以降はVIXのデータ

 (※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]