日本のVIXは高位 波乱の展開に注意
歴史的な急落と急反発を経験した後だけに、落ち着き処を探る展開を期待したいが、今週もまだ不安定な相場が続くだろう。相場が安定に向かう、ひとつの目途がVIX(Volatility Index)だ。米国のVIXは20程度まで下がり、ほぼ落ち着いた状況にある。しかし、日経平均ボラティリティー・インデックスは45とまだ平時の状況からはほど遠い。今週も波乱の展開に備えておくことが肝要である。
重要な経済指標の発表が米国で相次ぐ。13日に7月の生産者物価指数(PPI)、14日に消費者物価指数(CPI)、15日に小売売上高が発表される。ブルームバーグによれば、PPIは前月比0.2%上昇(前月は0.2%上昇)、CPIは食品とエネルギーを除くコアが同0.2%上昇(同0.1%上昇)、小売売上高は同0.3%増(同変わらず)が市場のコンセンサスだ。
PPIとCPIの物価指標でインフレの鈍化が確認されればFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが意識されドル売りの材料となる可能性がある。これまでインフレ鈍化⇒FRB利下げは株式相場の好材料であったが、急激な円キャリートレードの巻き戻しがここもとの市場波乱の要因のひとつとなっただけに、いまやインフレ鈍化⇒ドル安⇒円高は日本株にとって悪材料だ。上述のシナリオが現実のものとなることを警戒したい。
一方、小売売上高が予想通り底堅さを示せば、米国の景気後退に対する過度な懸念が和らぎ、株式市場の追い風になるだろう。
米国ではこのほか、13日は米アトランタ連銀総裁、15日には米セントルイス連銀総裁などの講演が予定されており、高官発言に注目が集まる。しかし、NYダウの史上最高値からの下落率は5%ほどであり、歴史的な暴落となった日本株と比べると米国株の下げはたいしたことがない。一時は「緊急利下げ」や「9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での0.5%利下げ」などの話が取り沙汰されたが、過度な悲観論は後退しており、市場への特段のサポート材料は聞かれないのではないか。
国内の景気の強さが見える材料にも要警戒
米国の経済指標も重要ながら、今回の日本株急落は日本の要因が大きいため、むしろ国内の材料のほうがより重要だろう。15日に4-6月期の国内総生産(GDP)速報値が発表される。GDPが強い結果となれば、再び利上げの思惑が台頭するかもしれない。今回の暴落の要因は日銀の引き締めスタンスにあると考えており、今の日本株はGood news is bad newsとなりかねない。
予想レンジは3万1000円~3万8000円とする。