ビットコインはトランプ共和党大統領候補(以下、トランプ氏)のビットコインカンファレンス登壇への期待により一時は上昇したが、イベント通過後に急落し、いってこいの展開となった。
来週のビットコインはFOMC(米連邦公開市場委員会)を通過し、夏季休暇前の売りが強まる可能性がある。イスラエル情勢次第ではさらなる売りに警戒したい。直近、上値としてBTC=1,050万円(70,000ドル)、下値としてBTC=900万円(60,000ドル)を意識する。
今週(7月26日~8月1日)の相場動向
相場回顧 BTC:イベント盛り沢山の中、いってこいの展開
ビットコインは、トランプ氏のビットコインカンファレンス登壇への期待により一時は上昇したが、イベント通過後に急落し、いってこいの展開となった。
米国の大手マイニング企業マラソン・デジタル[MARA]が1億ドル相当のビットコインを追加購入する方針を発表した。また、ミシガン州の退職年金基金がビットコイン現物ETFに投資していることが伝わり、次第に買いが強まった。注目されたビットコインカンファレンスでは、トランプ氏が、ビットコインを外貨準備金として保有する方針やゲンスラーSEC(米国証券取引委員会)委員長を解任する方針など、ビットコインについてポジティブな発言を繰り返した。これらの登壇内容を受けて一時BTC=1,050万円(70,000ドル)付近まで上昇した。
しかし、米国政府関連のアドレスからビットコインの大口送金が検知されると、市場では売り圧力が懸念されて急落した。その後、主要テック銘柄の決算やFOMCの発表を警戒する動きもあり、米国株とともに軟調に推移した。FOMCでは市場予想通りに政策金利の据え置きが決定し、パウエルFRB議長は9月利下げ開始を示唆した。ハト派寄りの内容を受けて米国株はやや反発したが、ビットコインはイスラエルとイランの緊張が高まる中で売りが先行しBTC=960万円(64,000ドル)付近まで下落した。
来週(8月2日~8月8日)の相場予想
BTCはFOMCを通過し夏季休暇前の売りが強まる可能性、イスラエル情勢も要注視
今回のFOMCでは、パウエルFRB議長が「9月」の利下げ開始について初めて言及し、米国の利下げ方針が改めて確認された。教科書通りに市場がポジティブに反応することも考えられるが、8月はジャクソンホール会議を除いて目立ったイベントが無いため、材料消化によって売りが強まる可能性がある。夏季休暇が本格化する前に米国株や暗号資産の持ち分を一部売却する動きも増えることが予想される。
新たな地政学リスクとしてイスラエルとイランの対立激化が懸念されている。イランがイスラエルに対して報復攻撃を行う構えを表明し、来週も両国家の動き次第ではリスクオフの売りが強まるだろう。ただし、ビットコインは、ロシアウクライナ戦争の時と同様に、金に類似したデジタルゴールドとして逃避的な買いも入りやすいため下げの影響は限定的と思われる。
米国のイーサリアム現物ETFは、ビットコインの時と同様に、手数料が割高なグレースケールの銘柄からブラックロックやフィデリティなどの銘柄へシフトが続いている。本格的な資金流入が期待できるのはこの動きが一服してからだろう。また、ハリス民主党大統領候補による世論の追い上げによって共和党の勢いが衰えており、トランプ氏の暗号資産に対するパフォーマンスも休息ムードで期待できないだろう。
直近、上値としてBTC=1,050万円(70,000ドル)、下値としてBTC=90,000万円(60,000ドル)を意識する。