11日発表の6月米CPIに注目
今週の注目材料は11日に発表される6月の米消費者物価指数(CPI)だ。4、5月に続き、インフレの鈍化傾向が続くかが焦点だ。市場予想は3.1%と5月の3.3%を下回る。3ヶ月連続で物価上昇率の伸びが鈍れば米連邦準備理事会(FRB)の9月利下げ開始期待が高まり、株高の要因となる。
CPIの発表に先立ってFRBのパウエル議長による議会証言がある。9日に上院銀行委員会で、10日に下院金融サービス委員会で、それぞれ半期に一度の金融政策報告に関する議会証言を行う。先週末に発表された雇用統計で過熱感の後退が確認されただけに、パウエル議長がハト派的な発言をする可能性が高く、それも株式相場の追い風になると期待される。
日銀の国債買い入れ減額に金利上昇とは限らず
国内の材料としては9~10日に開催される日銀と債券市場参加者との会合がある。30~31日の日銀金融政策決定会合に先立って国債買い入れの減額について事前に市場参加者の意見を聴取する。おそらく無難な会合となるだろう。日銀は「通過儀礼」を済ませたとして粛々と減額をすすめやすくなるだろう。金融政策正常化が進むと長期金利には上昇圧力がかかりやすい反面、9日の5年債、11日の20年債の入札では金利水準の高さから相応の応札が見込まれ、逆に金利は下がるかもしれない。米国の金利が低下気味であることも日本の金利上昇を抑えるのに一役買っている。
その他、国内の材料ではファーストリテイリング(9983)、セブン&アイ・ホールディングス(3382)、良品計画(7453)など小売りの決算が本格化する。
上場投資信託(ETF)の分配金捻出売りの心配は不要だろう
基本的には日本株相場は好地合いをキープしそうだ。悪材料としては、先週も指摘した上場投資信託(ETF)の分配金捻出売りがある。8日と10日の2日合計で1兆~1.3兆円強の売りが発生する見通しだが、その悪材料があると分かっていながら先週は日経平均・TOPIXともに最高値まで買われていただけに、大きな心配は要らないだろう。
先週7月4日付けのストラテジーレポート『政治リスクを考慮し、利益確定・ヘッジ売りを検討』で触れた都議会議員の補欠選挙だが、自民党は選挙前を下回る2議席の獲得にとどまったが、都議会の最大会派は維持した。この影響を注視していく必要がある。一方、フランス議会選の2回目の投票では極右勢力が失速した。これは好感されるだろう。この日曜日の政治イベントは、最終的に相場の波乱材料にはならなかった。
予想レンジは3万9500円~4万1500円とする。