◆前回の小欄で、「二十四節気では雨水と啓蟄の間」と書いたが、今は啓蟄と春分の間。もうじきお彼岸である。二十四節気は、簡単に言ってしまえば「季節の呼び名」だから春夏秋冬がもちろん中軸で、立春・立夏・立秋・立冬の「四立」と春分・夏至・秋分・冬至の「二分二至」の8つを重要な節目、すなわち「八節」とする。ところが実際にはお彼岸(春分・秋分を中日とした7日間)とか節分(立春の前日)などの「雑節」のほうがひとびとの暮らしに結びついて馴染み深い。墓参りに行ったり豆まきをしたり。土用の丑には鰻を食べる。相場格言には「節分天井、彼岸底」はあっても「立春天井、春分底」とは言わないので、やっぱり「雑節」のほうが人気なのだ。

◆二十四節気が季節の変わり目を表すように、「節」とはものごとの変わり目のこと。とすれば節から節まではひとつの周期(サイクル)だ。相場は「小回り3カ月大回り3年」などサイクルが大事である。その株式相場だが、アメリカのほうは早くも周期が一回りしたようだ。雇用統計に始まった相場の急落も、雇用統計で終った感がある。先週金曜日、ナスダック総合は再び史上最高値を更新。当然ながら先月からの急落分をすべて埋めて、さらに高値を獲ったということである。

◆日本株はアメリカ株に比べて出遅れが著しい。先週5日にも200日移動平均を割り込むなど冴えない動きだ。しかし、昨年秋にも一度200日移動平均を割り込むことがあった。それが9月8日。昨年秋の上昇相場の起点であり、秋分のひとつ前の節気、白露のころだった。今回も春分のひとつ前の節気、啓蟄のころに200日線を割っている。昨年秋と同じ相場のリズムなら、ここで底入れ、反騰相場の起点となるはずである。

◆相場のサイクルで言うと、いったん大きく相場が崩れると二番底が入るのは半年かかる。リーマンショックも2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻から半年過ぎた2009年3月に、ようやく大底が入って戻りに転じた。2月からの変調相場に終止符を打ったように思われる先週金曜日の米国株式市場。実は大きな節目を迎えていた。リーマンショック後の二番底をつけた3月9日から丸9年。リーマンショックから10周年の今年、その後の戻り相場も10年目の節目の年に入ったというわけだ。

◆日本の株式市場もなんだかんだ言っても26年ぶり高値まで戻った。一方、昨日で東日本大震災から7年を迎えた東北では住居や道路などは整備されつつあるが、ひとびとの暮らしの立て直しは道半ばだ。毎朝立ち寄るコーヒーショップで、東北の震災復興支援プログラムが今年も始まった。僕も新しいカードをまた買い求め、東北の復興8年目を微力ながら応援したい。