2024年6月21日(金)8:30発表
日本 全国CPI 2024年5月
【1】結果:総合・コアCPIは反転、コアコアCPIは縮小続く
2024年5月の全国消費者物価指数(前年比)は概ね市場予想通りの結果となりました。総合指数と変動の激しい生鮮食品除く総合指数(以下、「コアCPI」)は前回4月から2指標ともに0.3%ポイント上昇し、反転する結果となりました。
一方で、生鮮食品とエネルギーを除いた総合指数(以下、「コアコアCPI」)のみ前回からマイナスに推移しており、変動の激しい品目を除いた消費者物価は緩やかに縮小している様子がうかがえます。5月の結果は、政府による電気ガス激変緩和措置の影響が縮小したことや、再生可能エネルギー普及に伴う賦課金の引き上げから、電気代・都市ガス代が上昇に寄与する結果となりました。
【2】内容・注目点:エネルギー以外は横ばい・緩やかに縮小トレンド
コアCPIの寄与度を確認すると、上述の理由でエネルギーがプラス寄与に転換していることがわかります(図表3)。
その一方、財の寄与度は横ばい、生鮮食品を除く食品とサービスは緩やかに縮小しており、結果としてコアコアCPIは依然として縮小基調が続いています(図表4)。つまり、足元の物価の基調はコストプッシュ型インフレになってきていると言えるでしょう。実際に宿泊料などは前年比14.7%で推移していますが、上昇幅は縮小しており全体の指数にはマイナス寄与の結果でした。
【3】所感:サービスインフレは下落基調に
コストプッシュインフレの様相が強まった印象です。一方で、コアコアCPIは依然として2%台で推移していますが、趨勢は弱まっており、2%ぎりぎりで留まっているものと考えられます。
財とサービスに2分した推移をみると、財は足元エネルギー関連を理由に上昇、サービスは前年比でピークアウト、前月比ではここ数年、小幅ながらもプラスで推移していたものが、前回4月がマイナス0.2%、今回5月が0%と基調の弱まりがうかがえます(図表5)。
サービス価格はそう頻繁に価格改定が行われない(弾力性が低い)ものとされています。一方で、サービス価格は賃金との相関が高いため、2025年も今期と同水準の賃上げを実施するとなると、その実現のために価格転嫁の必要性に迫られると考えられます。そのため、緩やかながらもサービス価格の動向が上向いていくことが景気にとってもポジティブであり、時期尚早ながら少しずつ2025年も同水準の賃上げ機運が醸成されることに期待します。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太