次回7月会合時に、国債減額の詳細を決定予定

日本銀行は本日6月14日に政策委員会・金融政策決定会合を実施し、政策金利である無担保コールレート(オーバーナイト物)を0~0.1%程度で維持することを決定しました。また、長期国債およびCP・社債等の買入れについては次回決定会合(7月)までは前回方針を維持し、その後については金融市場において長期金利がより自由な形で形成されるよう、買入れ減額する方針が決定されました。市場参加者の意見も確認し、次回会合において今後1、2年程度の具体的な減額計画が決定されます。

事前報道によって具体的な長期国債およびCP・社債等の買入れ減額予想まで噂されながら実際には先送りとされたこと、次回会合の主要テーマが国債減額、なれば一部で予想された7月利上げの可能性が低下することから市場では金利低下・円安・株高となりました。

日銀は正常化に向けて慎重なかじ取りを継続

会見では国債等買入れ減額について、市場の安定性に配慮し、予見可能な形で相応の規模で速やかに実施予定、とされましたが枠組み等具体的な点には触れられていません。また前回は為替について基調的な物価上昇率への影響は大きくない、としたことで円安が進んだこともあり、今回は為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている、政策運営上十分に注視する、とされました。

これらの点はタカ派にも映りますが具体的な言及がなく、総じて市場との対話を重視し、正常化に向けて慎重なかじ取りを続ける日銀らしさの印象が強いものでした。事前報道が期待値を作り出してしまった点は、今後報道との関係において改善の余地があるでしょう。

正常化に向けたプロセスの長さを考えれば国債買入れ減額の実施先送り1ヶ月程度は、市場変動性が一時的に増すとはいえ、いずれ修正されるでしょう。今後は具体的な減額方針が市場参加者の見守るもとで作られることで、バランスシート調整に対する過度な思惑も後退することは市場混乱回避の点で評価されます。ただし経済の基調がいまだ弱い中で断続的な利上げを含む正常化の進展を期待するのは時間がかかりそうです。

短期金利引き上げによる正常化に向けた動きはマクロ経済動向次第となりますが、賃上げが反映されていく中で消費・物価へと循環が見られるのかがカギとなります。その動きが遅々として見られなければ引き続き米ドル円は米国次第となるでしょう。