2024年5月29日(水)14:00発表
日本 消費者態度指数2024年5月
【1】結果:消費者態度指数は前月差マイナス2.1ポイント、2ヶ月連続で軟化
2024年の消費者態度指数は、36.2と市場予想39.5(※1)を下回る結果となりました。消費者態度指数を構成する4指標も、軒並み前月から下落する結果となっています。同時に内閣府から発表される基調判断も「足踏み」とコメントされ、前回の改善から下方修正されました。消費者のマインドは足元の円安傾向などを理由に軟化したものと考えられるでしょう。
【2】内容・注目点:家計は先行きの収入増にはネガティブな見通し
消費者態度指数は、家計の半年先の暮らし向きや収入の増加率などに関する、今後半年間の見通しを5段階評価したうえで、各項目を統合した指数です。消費者マインドの軟化が示された、先行きの見通しは直近の為替動向が歴史的な水準で円安に振れていることや金利の上昇圧力がある(金利の上昇は住宅ローンなどで家計に影響する)といったことが意識され始めていることが要因だと考えられます。またそれらがニュースでも高頻度で取り上げられていることも、消費者マインドを下押ししているでしょう。
注目点は、消費者態度指数を構成する「収入の増え方」の結果で、前年同時期である2023年5月と比べると悪化幅が大きくなっています(図表3)。今年度の春闘の結果が高水準であった反動とも考えられますが、前年同時期も高水準の結果を受けた後であり、それと比べると目先の収入が増加していくといった見通しを家計は持てていないと考えられます。
【3】所感:先行きの家計消費は弱含むと予想
消費者マインドの悪化を受けて、先行きの小売など家計消費は落ち込むと考えられます。春闘の結果を受けた賃上げや6月から始まる定額減税といった消費を後押しするニュースはありますが、今回の消費者マインドから判断すると家計防衛的な行動が予期されるでしょう。
定額減税については、過去をみてもコロナ禍の給付金が明確に消費増につながったと判断されていない点(※2)も考えると、やはり消費よりも貯蓄にまわっていくものと推察されます。マインドの改善は、来期も今年度と同水準の賃上げ機運が醸成されていくことが重要だと考えられますが、これには半年単位での時間がかかるでしょう。
(※1)Bloomberg集計による市場予想中央値
(※2)内閣府、「特別定額給付金が家計消費に与えた影響」より
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太