2024年5月28日(火)8:50発表
日本 企業向けサービス価格指数2024年4月
【1】結果:企業向けサービス価格指数は市場予想を大きく上回る
前年比 +2.8%(+2.3%)
前月比 +0.7%(調査無し)
(%、カッコ内はBloomberg集計による市場予想中央値)
2024年3月の企業向けサービス価格指数は、前年比で市場予想を0.5%ポイント上回る結果となりました。前年比ベースのサービス価格は2023年8月より、9ヶ月連続で2%を上回って推移しています(図表1)。
【2】内容・注目点:多くの品目でプラスであることがポジティブ
今回の企業向けサービス価格指数を押し上げたのは、教育訓練サービスや土木建築サービスといった諸サービス(図表2中では「その他」に分類されるもの)が1.3%ポイントと大きくプラスに寄与しました。また輸送・郵便やソフトウェア開発などの情報通信も、3月に引き続き、前年比2%を超えて推移しており、その他全ての系列もプラスに寄与しました。
注目点は、サービス価格の上昇が人件費へ転嫁、反映されていると考えられる点です。図表3は企業向けサービス価格指数を構成する業態別でみた前年比の推移ですが、上述の「その他」に分類されるサービスや情報技術など上昇トレンドが確認できる業態では人件費を価格転嫁ができていると考えることができるでしょう。逆に横ばい・下降トレンドの業態はなかなか価格転嫁が進んでいないことがわかります。
【3】所感:消費者向けサービスへの波及が鍵
今回の結果では、企業間のサービス価格は前年比2.8%と市場予想以上の上昇が確認されました。企業向けサービス価格指数はCPIサービスと共に、主に人件費の指標と考えられていることから、賃金の上昇を示唆するものと考えられるでしょう。CPIサービスは先週の公表値では、2%を下回る前年比1.7%といった結果でした。直近では2指標が逆方向に推移していることがわかります。
消費者の値上げ疲れが指摘され、なかなか価格転嫁ができないことが一因と考えられますが、長期的には両者は同じ方向感をもって推移していると考えられるため、企業向けサービス価格の上昇トレンドが続く場合は消費者向けサービスにも波及され、CPIサービスも上向いていく可能性があると考えられます。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太