市場想定通り、政策金利は据え置き
現地時間5月1日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場想定通り6会合連続で据え置きとなりました。
公表された声明文では、2%のインフレ目標に向けた一段の進展が見られていない、と懸念が示されました。インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めるまで誘導目標の引き下げが適切になるとはみていない、とされています。
また、以前から検討されていましたが、6月から米国債の償還を現在の月当たり最大600億ドルから同250億ドルに減らすことで、保有証券の縮小ペースを減速させることを決定しました。エージェンシー債とエージェンシーMBSの償還については月当たり最大350億ドルに維持しています。
年内利下げの可能性は低下か
2024年は物価統計が予想を上回る状況が続いています。パウエルFRB議長の会見でも、インフレ鎮静化に向け、特に確信を深められるようなデータは得られていないとされ、従来の想定よりも時間がかかるだろうとの認識が示されました。また、次の動きが利上げとなる可能性は低いとも指摘しています。利上げに踏み切るには、インフレ率を目標の2%に下げるのに政策引き締めが不十分だという十分な証拠が必要で、裏付けとなる証拠はないとの見解が示されました。
年内に利下げが実施される可能性が徐々に低下しています。現在市場では2024年末まで1.4回の利下げ予想に留まっています。一方で利上げまでは想定されていないことから、FOMC直後の市場は金利低下・株高で反応したものの、週末の雇用統計を控えてか引けにかけては金利・株式共に調整しました。
しばらくは方向感欠く時間帯に
先行きの不透明感からデータ次第で市場が振れやすい状況です。また米ドル円には、5月2日朝も為替介入とみられるような不安定な動きが確認されていますが、ファンダメンタルズ上、米ドル買い材料が多い中、現在の為替水準では介入警戒も続くでしょう。
堅調な経済状況が確認されていますが、本来悪い話ではありません。一方、引き締め効果の顕在化は良い話ではなく、本来株式市場にとってはマイナス要因となりますが、その先の利下げが期待されてきました。先々を織り込もうとする分、足元のファンダメンタルズと市場期待はかい離しますが、特に足元ではインフレの進展にも時間を要しており、方向感に欠く時間帯が想定されます。