先週の上海総合指数と深セン総合指数は小幅高、創業版指数は小幅安となり、小幅な値動きとなりました。李克強首相が先月、中国のGDP成長率が7.5%の目標を達成できる軌道に乗っていると指摘したこと(多くのエコノミストは達成不可能と見ていた)や、8月3日に発表された7月の中国公式非製造業景況指数(PMI)が6月の53.9から54.1に上昇したこと、HSBCが中国の非製造業の成長率は停滞が続いているものの新規受注の伸び率が回復し、3月以来の高水準となっていると発表したことなどを受け、景気回復が期待されて大型株の小幅高が続く相場となりました(逆に小型株は大型株に資金が流れる形で小幅安となっている様子です)

さらに8月8-9日に発表された7月の中国の各種経済指標は景気回復への見通しを強めるものとなっています。鉱工業生産は前年同月比9.7%増となり、6月の8.9%増、エコノミスト予想の9.0%増を共に上回る結果に。発電量も8.1%増で、前月の6.0%増を上回り、2011年末以来の高い伸びに。また輸出と輸入は5.1%増と10.9%増で前月の3.1%減と0.7%減、エコノミスト予想の2.0%増と1.0%増を共に大きく上回る結果となりました。さらに言えば消費者物価指数(CPI)は2.7%上昇となり、エコノミスト予想の2.8%増を下回って着地しています。

一方でハンセン指数は週初に大きく下落。これはハンセン指数の構成ウェートのおよそ15%を占めるHSBC(00005)の2013年上半期決算発表後の下落に牽引されました。HSBCの上半期の決算は純利益が市場予想を下回ったほか、新興市場の成長鈍化を同社CEOが指摘し、同社の新興国事業における収益性への懸念が高まりました。今後の中国株の見通しですが、欧米の景気がさらに拡大すれば、8月の中国の経済指標は一段と改善し、株高につながっていけるところですが、米国の量的緩和政策縮小観測がある中で、果たして拡大基調をたもっていけるかどうかはまだ不透明です。一方、中国政府からの景気刺激策は小型のものはいくつか出ているのですが、相場を動かすような大型のものは出てくる気配がありませんので、当面は欧米の経済状況を見ながら様子見の推移が続きそうです。

コラム執筆:戸松信博