モトリーフール米国本社 、 2024年3月17日投稿記事より

AIの追い風で数年間の恩恵が見込まれる

人工知能(AI)は今や最もホットな投資テーマであり、ベテラン投資家だけでなく、投資初心者をも魅了しています。複数の調査会社が、AIの市場規模が2030年までに1兆ドルを超えると予想していることを考えれば、無理もありません。

AIトレンドが莫大なリターンを生み出す可能性を秘めていることから、投資家はAI関連銘柄に対して、かつてないほど高い関心を寄せています。その中でも、AI関連ポートフォリオへの追加を検討したい銘柄として、エヌビディア[NVDA]とマーベル・テクノロジー・グループ[MRVL]に注目します。

エヌビディア[NVDA]には価格決定力

AI革命の申し子として広く知られる半導体大手のエヌビディアは、歴史を作ろうとしています。

2024年1月期第4四半期の業績は売上高、利益ともにコンセンサス予想を上回りました。米国政府が中国向け半導体輸出の規制を強化したことで、エヌビディアが2024年に数十億ドルもの受注をキャンセルされる可能性があることを考えると、驚くべき業績です。同社はまた、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]やインテル[INTC]といった半導体メーカーのみならず、独自のAIチップの開発に取り組んでいる主要顧客との競争にも直面しています。

それにもかかわらず、エヌビディア製AIチップは技術的に優れており、世界のデータセンター向け画像処理装置(GPU)市場で92%近いシェアを獲得しています。同社の最先端GPUや先端ネットワーキング技術は、汎用コンピューティングからアクセラレーテッド・コンピューティングへの移行を反映して、データセンターで幅広く使用されています。さらに、業界を問わずさまざまな企業がさまざまな用途で生成AI技術を活用しており、AI向けのエヌビディアのハードウェア製品にとって、1兆ドル規模のビジネスチャンスとなる可能性があります。その上、エヌビディア製チップの需要は供給をはるかに上回っているため、同社には大きな価格決定力があります。これは、過去数四半期の同社のデータセンター売上を力強く押し上げてきた主な要因です。

ソフトウェアにも商機

ハードウェアだけではありません。エヌビディアのCUDA(Compute Unified Device Architecture)プログラミング・ソフトウェアシリーズは、アクセラレーテッド・コンピューティング用にGPUを最適にプログラムするのを支援しています。アクセラレーテッド・コンピューティングの採用が進むにつれて、企業は複雑なソフトウェアインフラを維持するためのサポートも必要になっています。一般企業には大規模なエンジニアリングチームがいないため、エヌビディアはこれを、クラウドネイティブのソフトウェアプラットフォームであるNvidia AI Enterpriseにとっての好機と捉えています。

エヌビディアの成長は確実に見えますが、投資家は高騰するバリュエーションを懸念しています。株価収益率(PER)は77倍であり、かなりの割高感があります。しかし、過去3年平均の95.9倍や過去5年平均の86.9倍と比べれば安いのかもしれません。エヌビディアは、常に大幅なプレミアムで取引されてきました。それでも、この1年間で300%という驚異的なリターンを実現しています。

複数の力強い追い風と過去平均より低いバリュエーションを考えると、エヌビディアへの投資は検討する価値があるかもしれません。ドルコスト平均法という戦略を取り、長期間にわたって少しずつ投資するという選択肢もあります。

マーベル・テクノロジー・グループ[MRVL]はTSMC[TSM]と提携

ファブレス半導体メーカーのマーベル・テクノロジー・グループの株価は、2024年度(2024年2月3日まで)第4四半期決算を発表した3月7日に11.4%近く下落しました。キャリア・インフラ、エンタープライズ・ネットワーキング、コンシューマー市場といったエンドマーケットが大幅に落ち込んでいますが、AIに後押しされたデータセンター事業は好調が続いています。

マーベルは、AIおよびアクセラレーテッド・コンピューティング市場の爆発的成長から恩恵を受けようと、AI向けネットワーキング製品やチップに積極的に投資しています。第4四半期には、従来のクラウドデータセンターやAI向けデータセンターで使われるインターコネクト、アクセラレーター、スイッチの需要が堅調に推移しました。2024年度のデータセンター売上のうち、AIは10%を占めています。会社側は2024年末までに、さらに高速な光インターコネクト製品を発表する計画です。

マーベルは先日、アクセラレーテッド・コンピューティング向けの2ナノメートルチップの生産を可能にする技術開発をめぐり、長年続いている台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]との提携延長を発表しました。提携延長により、マーベルは次世代AIワークロードの性能と電力効率の向上において、極めて重要な役割を果たすことになります。

AI以外でも、確実な成長が見込まれる事業セグメントがあります。会社側は、現在は落ち込んでいるキャリア・インフラ、エンタープライズ・ネットワーキング、コンシューマーの各セグメントが、2025年度下半期に徐々に回復すると予想しています。自動車における接続性や帯域幅の要求が高まっていることも、マーベルの自動車事業にとって成長の大きな原動力となっています。

AI向けネットワーキング製品への需要が高まっていることや、他のエンドマーケットでも近いうちに回復が見込まれることを考えると、2024年にマーベル・テクノロジー・グループに投資することは賢い選択肢かもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Manali Pradhanは、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアドバンスト・マイクロ・デバイシズ、エヌビディア、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリングの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はインテル、マーベル・テクノロジー・グループの株式、および以下のオプションを推奨しています。インテルの2023年1月満期の57.50ドルコールのロング、同2025年1月満期の45ドルコールのロング、同2024年5月満期の47ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。