様々な憶測が飛び交う中、150円台から下落

来週3月18、19日は日銀の金融政策決定会合、そして3月19、20日は米連邦公開市場委員会(FOMC)があります。

3月4日週には米ドル/円相場は膠着が長かった150円台から下落し、一時146円台まで円高/米ドル安へと動きました。日銀関係者らの発言やメディアの観測報道により、3月の会合でマイナス金利解除をはじめ、ETFの買入停止、イールドカーブ・コントロール(YCC)撤廃の決定、新たな国債購入の枠組みの発表があるのではないかとの見通しが台頭しています。

これまでマイナス金利解除は、春闘の結果を受けて4月会合で発表される、というのが市場のコンセンサスでした。しかし、今週3月13日の第1回集中回答日に五月雨式に公表された企業からの回答は賃上げ5%超が相次ぎました。そのため、市場では来週の会合でマイナス金利解除が決定されるだろうと確信を強めたように見えます。

メディアからは連日観測気球が打ち上げられ、3月に日銀がマイナス金利解除に動いても驚きではなくなってきました。噂で買って事実で売るという相場格言がありますが、米ドル/円が150.88円高値から146.47円まで4円あまりも下落したので、すでに噂の時点で相応に相場は動いてしまっています。事前の観測報道を超えるサプライズがなければ、日銀会合後の米ドル/円の下落は瞬時に買い戻される可能性もあるかもしれません。

また、日銀会合後の植田総裁会見では、今後積極的に利上げするということではなく、緩和は継続され、決して引締めではないことを強調するのではないかと思われます。そのため、日銀を材料とした米ドル/円下落のリスクはあまり高くないように感じています。

ただし、メディアの観測報道が前のめりとなっているだけに、3月は現状維持で、マイナス金利解除はやはり4月に、ということになれば、下落した分の米ドル/円相場は大きく買い戻されるリスクとなりますので、どのような可能性も排除せずにポジション管理をすることが肝要です。

インフレの再上昇リスク、米ドル金利上昇の動きに注目

問題はその直後に開催されるFOMCです。ISM製造業景況指数や雇用統計など良くない経済指標が出てきたことで、ノーランディングシナリオは著しく後退しました。リセッションへの警戒感も出てきていますが、1月と2月の米消費者物価指数(CPI)や米生産者物価指数(PPI)が予想を上回る結果となりインフレの再上昇リスクが芽生えてきました。

現状、6月FOMCでの利下げ開始がコンセンサスですが、3月のFOMCではどのようなメッセージを打ち出すのでしょうか?今週は米CPIとPPIを受けて米ドル金利が大きく上昇しており、日米金利差拡大に伴って米ドル/円相場は反発基調にあります。これだけ日銀のマイナス金利解除が来週にも決定されるとの観測報道があっても、米ドル金利上昇のインパクトのほうが大きいのです。

来週は日米の金融政策がどのように打ち出されるかで、日米の金利が大きく変動し、米ドル/円相場のボラティリティはさらに高まりそうです。