経済指標も安定、株式市場にはプラス

先週のS&P500は0.26%の下げとほぼ変わらずで、ナスダック100については1.55%の下げで1週間を終えました。

先週注目された経済指標は3月8日(金)の雇用統計です。2月の雇用者数については、事前予想の20万人を越え、前月比27万5千人増と引き続き労働市場が堅調であることを示す内容となっています。一方、1月と2月に発表された雇用者数については今回下方修正がされました。平均時給については、先月比で事前予想0.2%に対し0.1%の伸びとなりましたが、これは2021年3月来の穏やかな伸びです。

失業率については3.7%から3.9%へと上昇しています。これらの結果は全体として、株式市場にとってはゴルディロックス(過熱しすぎでもなく、冷え込みもしない適度な状況にある相場)的なバランスの取れた内容で、株式市場にとってはプラスとなる内容だったと解釈できます。

総じてS&P500はしっかりした展開となっています。2024年に入り1月31日と2月13日にマーケットは突然下がり始め下落相場の始まりかと、ヒヤッとする瞬間があったのですが、その後上昇を再開したのです。それは先週も同じで、S&P500は3月4日(月)、5日(火)と下がったのですが、翌6日(水)には上昇に転じ、7日(木)には2024年に入って16回目の史上最高値を更新しています。

小型株指数、新興国株指数はアウトパフォーム

先週S&P500は若干のマイナスで終わりましたが、S&P500イコール・ウェイト指数に連動するインベスコS&P500イコール・ウェイトETF[RSP]は引き続き先週も0.96%上昇しました。S&P500は時価総額加重平均型の指数で、マイクロソフト[MSFT]のような時価総額の大きな銘柄の動きに影響を受けやすく設計されています。一方で、イコール・ウェイト指数はS&P500採用銘柄の時価総額の大小関係なく値動きするよう設計されているのです。つまり、このイコール・ウェイト指数がより上がっているということは、時価総額が小さな銘柄群が先週上がったことを意味しています。

これまで米国株市場を牽引してきたエヌビディア[NVDA]は、先週も6.38%上昇しています。ウォール街の証券会社によると、このところ米国の機関投資家は1銘柄に賭けるより、グローバルX社のグローバルX ロボット&AI・ETF[BOTZ]といったテーマ型のETFを使い、AIのテーマに投資をしているという報告があります。

毎月開催の「マネックス証券米国株セミナー」で私は米国株の小型株に投資妙味があると解説してきました。小型株指標であるラッセル2000は引き続き上昇、先週3月7日(木)には引値ベースで52週間の高値を更新しました。同指数に連動するiシェアーズラッセル2000 ETF[IWM]は先週0.46%上昇しています。

米国外についても、私はセミナーで、歴史的なバリュエーションから見ても、先進国株式指数と比較しても、新興国の株式に投資妙味があるとお伝えしてきました。MSCI新興国株指数に連動するiシェアーズ・コアMSCIエマージング・マーケットETF[IEMG]は先週も0.73%上昇しました。このような小型株指数、新興国株指数のアウトパフォーマンスはこれからも継続すると考えています。

CPI消費者物価指数に注目

今週の市場の注目は、3月12日(火)発表予定の2月のCPI消費者物価指数です。今回の予想は先月と同じ、前年比で+3.1%、食品・エネルギーを除くコアCPIについては前回3.9%でしたが、今回は3.7%増の予想となっています。