モトリーフール米国本社、2024年2月18日 投稿記事より
市場を支配する優良企業
どの銘柄に投資しようか迷っている多くの投資家はウォーレン・バフェット氏の動向に注目しています。バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の保有銘柄を参考にする投資家もいるでしょう。
バークシャー・ハサウェイは3,730億ドルに上るポートフォリオを通じて、数十銘柄に投資しています。この中には、決済業界を支配するアメリカン・エキスプレス[AXP]、ビザ[V]、マスターカード[MA]の3社があります。3社を詳しく見てみましょう。
アメリカン・エキスプレス[AXP]は3番目のポジション
アメリカン・エキスプレスは、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオの中で3番目に大きなポジションを占めています。バークシャー・ハサウェイは、アメリカン・エキスプレスの株式の21%、320億ドル相当を保有していますが、その理由は明らかです。
アメリカン・エキスプレスは、バフェット氏が投資先を決める際の条件の多くに合致しています。まず、同社は高い競争優位性を持っています。世界で最も強力なブランドの1つであり、富裕層の顧客を引き付けています。また、加盟店と個人を結び付けることで、強力なネットワーク効果の恩恵を受けています。
バフェット氏は、選んだ銘柄を長期的に保有することを好みます。これらの特徴から、アメリカン・エキスプレスに持続力があると考えられます。
足元の株価収益率(PER)は19倍であり、過去10年平均と同水準です。引き続き勢いがあるため、投資するなら今が好機かもしれません。
2023年の売上高(支払利息控除後)は、前年比14%増の605億ドルでした。希薄化後1株当たり利益(EPS)も14%増加しました。経営陣は2024年についても、2桁の増収増益を見込んでいます。
ビザ[V]、マスターカード[MA]も高収益
過去10年間にビザとマスターカードの株価は、それぞれ395%と502%という驚異的な上昇を記録しました。これはS&P500指数を上回る素晴らしいパフォーマンスです。その結果、両社の株価はPERが31倍を上回り、割安感はありません。
しかし、一見高く見えるバリュエーションに躊躇してはいけません。どちらも優良企業であり、それだけのバリュエーションに値すると思われます。
両社はアメリカン・エキスプレスと異なり、消費者への貸し出しを行っていません。その代わり、両社は多くの金融機関と提携し、顧客の獲得、信用調査、支払い処理、デフォルトリスクの負担を金融機関側に任せています。そのため、ビザとマスターカードは金利収入を見込めません。
ところが、両社ともアメリカン・エキスプレスと同様に、消費者と加盟店をつなぐ、いわゆる「決済レール」を運営しており、世界中でさまざまな取引を可能にしています。こうした資本集約度の低いビジネスモデルにより、両社は世界でトップクラスの企業となっています。
ビザとマスターカードは、どちらも非常に大きなネットワーク効果が働いています。それぞれ数十億枚のカードを発行し、カードが利用できる店舗数は数千万に上ります。
ネットワークの規模が大きくなればなるほど、すべてのステークホルダーにとって、価値は高まります。両社を合計した2023年第4四半期の決済総額は6兆3,000億ドルに達し、この2社のサービスが途絶えることはほぼあり得ません。
しかも、両社の事業は極めて収益性が高く、ビザの過去5年間の四半期営業利益率は平均66%、マスターカードは55%です。これ以上に営業利益率が高い企業など、他には簡単に見つからないでしょう。
バークシャー・ハサウェイは現時点でビザとマスターカードにそれほど多くを投資していません。バフェット氏は両社のバリュエーションが高過ぎると考えているのかもしれません。しかし、これらの銘柄が投資に値しないわけではありません。ビザとマスターカードについてもっと詳しく知り、ドルコスト平均法で時間をかけて投資することを検討するのも、悪いアイデアではないでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アメリカン・エキスプレスは、モトリーフールのグループ会社アセントの広告パートナーです。元記事の筆者Neil Patelと同氏の顧客は、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイ、マスターカード、ビザの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は以下のオプションを推奨しています。マスターカードの2025年1月満期の370ドルコールのロング、同2025年1月満期の380ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。