東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は大幅反発となりました。314円高の38,017円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで424円高の38,127円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に伸び悩むと11時20分前には232円高の37,935円まで上げ幅を縮めました。しかし、後場に入って再び上げ幅を広げると結局454円高の38,157円とほぼ高値引けとなり、34年1ヶ月ぶりに38,000円台を回復して取引を終えています。こうしたなか新興市場も高く東証グロース市場250指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
本決算を発表した楽天グループ(4755)や山崎製パン(2212)が急伸しました。楽天グループの2023年12月期は5年連続の最終赤字となり年間配当を無配にすると発表しましたが、携帯事業の赤字が縮小したことを評価した買いが入り一時15.8%上昇しストップ高となる場面がありました。山崎製パンも菓子パンを中心とする包装パンの販売が値上げ後も好調だったことなどから2023年12月期の営業利益が前期比で90.5%増となったことや、2024年12月期も前期比で14.4%増となる見通しを示したことで一時17.1%高となり上場来高値を更新しました。第3四半期決算を発表したサンリオ(8136)も一時14.2%高となりました。コロナウイルス禍後の経済再開を背景に国内の店舗やテーマパークの収益回復が見込まれることなどから188億円とみていた通期の営業利益の見通しを268億円に上方修正したことに加えて、1株を3株とする株式分割を発表したことで大幅高となりました。昨日にストップ高となったデータセンター運営のさくらインターネット(3778)が本日も一時14.2%高となり連日で上場来高値を更新しました。自治体が持つ個人情報などを管理する政府クラウドを巡り、経済産業省は提供事業者に選ばれたさくらインターネットを支援する方針を固めたと伝わったことを材料視した買いが入りました。また、昨日の米国市場で主要な半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となったことを受けて半導体関連株が高く、東京エレクトロン(8035)が5.0%高、SCREENホールディングス(7735)が一時6.4%高、アドバンテスト(6857)が一時3.6%高、ディスコ(6146)も一時4.8%高となり、揃って上場来高値を更新しています。一方でソニーグループ(6758)が一時8.9%安となりました。家庭用ゲーム機の販売計画を引き下げ通期の売上高の見通しを下方修正したことで売りが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は454円高となりました。寄り付き前の8時50分に発表となった2023年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値は実質年率換算で前期比0.4%減と2四半期連続でのマイナス成長となり、プラス成長を見込んでいた市場予想を下回りました。しかし、影響は限定的で昨日の米国市場でのハイテク株高を受けて大幅高となり、終値ベースで1990年1月以来34年1ヶ月ぶりに38,000円台を回復しました。そのため1989年12月29日に付けた過去最高値(38,915円)更新への期待がさらに高まりそうです。なお、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や2月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数、2月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、1月の米小売売上高などが発表されるほか、23時15分には1月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。また、15日の米国では半導体製造装置大手のアプライド・マテリアルズ[AMAT]の決算発表が予定されています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)