もち合いをブレイク後、大幅高へ

前回のコラムでは、「5日移動平均線の方向がはっきりしないため、株価のトレンドが判断しづらい中、1月23日の取引時間中の高値と1月26日の同安値の間のもち合いを形成していると判断できる」と解説しました。

また、「このどちらかをブレイクするとトレンドが発生する」とも解説しましたが、2月8日の内田日銀副総裁の懇談会での発言を受け株価が急上昇。さらに、翌営業日には日経平均が37,000円台を回復するとともに、取引時間中に1月23日の高値を上回る場面がありました。

ただ、取引終了にかけて売り物に押されたことから上ヒゲを形成して終え、レンジの上限をブレイクするのは難しいように見えました。一方で、5日移動平均線が明確に上向きに変化しているのが分かります。

そこで注目したいのが、5日移動平均線の方向です。5日移動平均線は短期のトレンドを示していますが、2月7日までは細かく上下に変動していて方向がつかめなかったものの2月8日の上昇を受け、5日移動平均線は上向きに変化しています。また、上ヒゲを形成した2月9日には5日移動平均線が明確に上向いており、トレンドが発生していると判断できたわけです。

そのような中、3連休明けの2月13日には、それまでのもち合いの上限となっていた1月23日の高値を上回って取引が始まり、その後も上げ幅を広げ1,066円高となり、一時34年1ヶ月ぶりとなる38,000円台を回復する場面がありました。

このように、もち合いを形成している時にはもち合いの上限と下限の水準を把握するとともに、5日移動平均線がどちらの方向に動き出したかを知ることができれば、このような上昇に乗り遅れずに、取引することができるようになるのではないかと思われます。

では今後についてですが、一旦レンジの上限をブレイクしていることから、上放れの継続が期待されます。その判断材料になるのが、上向きの5日移動平均線上を維持できるか、です。

仮に5日移動平均線上を維持するようですと、終値で38,000円台を回復することが視野に入る反面、5日移動平均線上を維持できずに割り込んで戻せなくなる場合、1月23日の高値近辺まで下落したり、25日移動平均線に接近したりすることが考えられますので売り時を逃さないようにしたいところです。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※ 移動平均線は5日、75日、200日を表示

心配されたモメンタムも急上昇中

そのような中、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、前回下回っていた0ラインを上回って急上昇しているのが分かります。

このように、2本線が上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを上回って急上昇していることからも上昇の勢いが強まって、トレンドにも影響していることが判断できるのではないでしょうか。

仮にこのまま2本線が上昇を続けたり、高水準を維持したりするようですと、株価の上昇の勢いが継続することになり、終値で38,000円台を回復することも視野に入りそうです。

一方で、モメンタムの上昇がピークアウトして下向きに変化したり、下向きに変化した後も低下が続いて0ラインに接近したりするようですと、上昇の勢いが弱まって5日移動平均線に接近したり、下回ったりすることが考えられますので高値掴みを避けるとともに、売り時を逃さないようにする必要がありそうです。