◆今日1月7日は人日の節句。春の七草を入れた七草粥を食べる日とされている。春の七草とは、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。「せり」はわかるが他のものはなじみが薄い。「すずな」はカブであり、「すずしろ」は大根のこと。「はこべら」は「はこべ」のことだ。「はこべ」といえば、こどもの頃、野原にいっぱい生えていた雑草ではないか。「なずな」は別名「ぺんぺんぐさ」である。もっとひどい。

◆だから「七草粥を食べる日とされている」と書いたのだ。僕自身は一度も七草粥など食べたことがないからである。「はこべ」や「ぺんぺんぐさ」の入った粥など食べたくない。しかし、七草粥を食べるのは無病息災を願う意味がある。実際面でも、年末年始の飲み食いで疲れた胃腸を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという効能もある。う~ん、確かにこのところの暴飲暴食で胃が荒れ気味だ。毛嫌いせずに今年は七草粥を食べてみようか。

◆いやいや、もう遅い。昨日1月6日の夜にあらかじめ用意した七草をまな板の上に載せ、歌を歌いながら包丁の背などで叩いて細かくしておく作業が必要なのだ。その歌は、「七草なずな 唐土の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトントン」というもの。唐土とは中国を指す。中国から日本に悪い鳥が渡ってくる前に、という意味だ。

◆一時、中国の景気減速が世界経済にとって最大のリスクだと警戒されていた時期があった。中国景気の実態はあまり変わっていないように思うが、上海株式市場は一本調子の高騰を続けている。昨日もまた昨年来高値を更新し、一年前の安値から7割近い上昇となっている。中国から日本に悪い鳥が渡ってくることばかり気にしていたら、悪い鳥は思わぬ方向から飛んできた。ギリシャの政情不安であり、原油安である。昨日の東京市場はリスク回避の円高が進み、株価も大暴落となった。

◆松本大は昨日の「つぶやき」でこう書いた。<正月気分の頭がボーッとしている間に原油安が進み、それが経済や株価に与える影響を良く消化できない間にFOMCの議事要旨は明日に出てくるというので、ドタバタと一旦ポジションを手仕舞う>そんな感じではないか、と。なるほど、正月気分で消化不良なのである。そうであるならばマーケットに対してこそ、こう言いたい。「七草粥を召し上がれ。」

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆