モトリーフール米国本社、2024年2月4日 投稿記事より

莫大な投資リターンをもたらしている消費者向け巨大ハイテク企業

長年、バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のCEOを務めるウォーレン・バフェット氏は、数多くの投資で成功を収めてきました。

その中でも、最も成功している投資先はアップル[AAPL]かもしれません。バークシャー・ハサウェイが初めてアップル株を買ったのは2016年第1四半期でした。2016年の年初からこれまでに、アップルの株価は615%という驚異的な上昇を遂げています。

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオ全体のうち、アップル1社だけで45.7%を占めています。これほど保有比率が高いことに加え、時価総額は2兆9,000億ドル、株価収益率(PER)は30.4倍であり、オマハの賢人と呼ばれるバフェット氏がなぜ今でもアップル株を保有し続けているのか、不思議に思う人もいることでしょう。

ウォーレン・バフェット氏がアップル株の保有を継続している4つの理由

これには4つの理由が考えられます。

長期保有することで複利のメリットを享受する

バフェット氏の投資戦略は昔から、優れた企業を見出し、長期保有することに重点を置いています。

アップルには、長期保有銘柄となる素質が備わっています。強力なブランド力は、経済的な優位性となっています。また、顧客はこれまで以上にアップルのソフトウェアやサービスを利用するようになっており、顧客が定着するシステムが構築されています。これらの特徴が同社の好業績を後押ししているのでしょう。

継続保有することのさらなる利点として、課税対象になることがありません。つまり、複利が不必要に中断されないということです。

アップルがS&P500指数をアウトパフォームする可能性は高いか?

投資する銘柄を選択する時、市場を長期的にアウトパフォームすることを期待するはずです。莫大な時価総額と割高なバリュエーションにもかかわらず、バフェット氏はアップルが今後も力強いリターンを生み出し続けると信じているのでしょう。

配当を再投資した場合、S&P500指数の長期リターンは年平均で約10%になります。ほとんどのアクティブ運用マネジャーにとって、これは困難なハードルです。しかし、バフェット氏は、アップルがS&P500指数をアウトパフォームする可能性が高いと考えているのかもしれません。

もしそうであれば、バフェット氏がアップル株を売る理由はないのかもしれません。同氏は、長年にわたる保有により、アップルの事業について熟知しています。

配当額は年間8億7,900万ドルに

バークシャー・ハサウェイは、アップル株約9億1,600万株、すなわち5.9%を保有しています。これほどの大きなポジションは多大な利益をもたらしています。

アップルの配当利回りはわずか0.52%ですが、現在の四半期配当0.24ドルに基づくと、バークシャー・ハサウェイが受け取る配当額は年間8億7,900万ドルに上ります。

アップルはフリーキャッシュフローの大部分を発行済株式の償却に充てています。2018年9月末~2023年9月末の間にアップルの発行済株式数は21%縮小しており、こうした資本配分方針により、バークシャー・ハサウェイの持ち分は押し上げられています。

バフェット氏が仮にアップルを売却すると?

アップル株を売却する理由はいくつかあるでしょう。しかし、機会費用についても考えてみてください。バフェット氏が今日、アップル株をすべて売却した場合、バークシャー・ハサウェイは1,700億ドル近い売却益をどうしたらよいでしょうか。

これほど多額の現金が舞い込むことによって、バークシャー・ハサウェイの問題は悪化する一方なのです。同社のバランスシート上にはすでに1,520億ドルもの現金、現金同等物、財務省短期証券があり、バフェット氏はその有効な使い道、つまり魅力的な投資先が見つかっていないようです。

要するに、現在の時価総額や割高なバリュエーションから判断すると、アップル株は売却するという選択肢も1つかもしれません。しかし、アップルには、ただ現金を保有するよりもはるかに優れた潜在的リターンがあると言えるでしょう。バフェット氏もそう考えているのかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。
元記事の筆者Neil Patelと同氏の顧客は、記載されているどの企業の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はアップル、バークシャー・ハサウェイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。