米アップル[AAPL]が2月1日に発表した2024会計年度第1四半期(2023年10-12月期)の決算は、売上高が前年同期比2%増の1195億7500万ドル(約17兆5100億円)だった。増減収率はこれまで4四半期連続マイナスで推移しており、5四半期ぶりに増収を確保した。

純利益は、同13%増の339億1600万ドル(約4兆9700億円)で、3四半期連続で増加した。売上高全体の6割弱を占めるスマートフォン「iPhone」が伸びたほか、利益率の高いサービス部門の伸びが奏功し、2四半期連続の2桁増益を達成した。

【図表1】アップル、売上高2パーセント増 増収確保 3四半期連続の増益
 

1株利益は2.18ドル(前年同期は1.88ドル)で、売上高とともに市場予想を上回った。一方で、香港や台湾を含む中華圏の売上高が2桁減となり、同日の米株式市場の時間外取引でアップルの株価は一時、約3%下落した。サービス事業の売上高は市場予想をわずかに下回った。

iPhone売上高6%増、サービスは11%増

売上高を事業部門別に見ると、全体の約58%を占めるiPhoneが、前年同期比6%増の697億200万ドル(約10兆2100億円)となり、伸び率は前四半期の3%を上回った。

パソコン「Mac」の売上高は同1%増の77億8000万ドル(約1兆1400億円)となり、30%の減収だった前の四半期からプラスに転じた。

一方、タブレット端末「iPad」は同25%減の70億2300万ドル(約1兆300億円)と大幅に落ち込んだ。腕時計端末「Apple Watch」やスマートスピーカー「HomePod」などの「ウェアラブル、ホームおよびアクセサリー」も同11%減の119億5300万ドル(約1兆7500億円)と、2桁減少した。

【図表2】アップル、iPhoneが6%の増収 サービス事業は過去最高更新
 

アプリ・音楽・動画配信などのサービス事業の売上高は同11%増の231億1700万ドル(約3兆3900億円)で、前四半期に続き過去最高を更新した。同部門の200億ドル超えは5四半期連続で、アップルの全売上高に占める比率は約19%になった。

アクティブデバイスの数が22億台を超え、「全製品および地域セグメントにおいて、過去最高を更新した」(同社)。これはiPhoneやMac、iPad、Apple Watchなどの世界で稼働中の同社製機器の台数である。ルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は声明で、「これは明らかに当社と未来の原動力だ」と述べた。今後も稼働デバイスの規模を生かし、サービス収入の拡大を図る考えだ。

中国の売上高、13%減 前四半期に続き減収

売上高を地域別に見ると、米州が前年同期比2%増の504億3000万ドル(約7兆3900億円)、欧州が同10%増の303億9700万ドル(約4兆4500億円)だった。これに対し、中華圏が同13%減の208億1900万ドル(約3兆500億円)となり、前四半期に続き減収となった。

日本は同15%増の77億6700万ドル(約1兆1400億円)、その他のアジア太平洋は同7%増の101億6200万ドル(約1兆4900億円)と好調だった。

クックCEO「2024年後半にAI投資の詳細発表」

アップルは2024年2月2日、同社初のゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョンプロ)」を米国で発売する。アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は同製品に言及し、「これまでと同様、当社の価値観に基づいて、顧客のために画期的なイノベーションの追求に取り組んでいく」と述べた。

同氏は、決算説明会で同社がAI(人工知能)に投資していることも明らかにし、「2024年後半に取り組みの詳細を発表する予定だ」と述べた。

1ドル=146.46円で換算