先週7年振りにカナダのバンクーバーを訪問する機会を得ました。私は16歳の時、交換留学生としてカナダの田舎町の高校で一年間勉強した経験があり、思い出の多い国の一つです。
久しぶりに日本を出てアメリカに到着するととても緊張するのですが、実はカナダではその緊張感を感じません。それはカナダの方が米国より銃の規制が厳しく、犯罪率も低いというのもありますが、カナダの文化の方がアメリカのそれと比べのんびりしている印象があるからだと思っています。

今回そんなカナダに滞在中のことです、カナダ与党自由党のジャスティン・トルドー首相が党首と首相職を辞任すると発表しました。まさにバンクーバーの空港へ向かう直前の朝、現地のテレビで記者会見をライブで見ることになりました。カナダ政府のインフレ対応がうまくいっておらず、国民の不満が高まっていたことが大きな理由のようです。

今回バンクーバーの空港から市内のホテルへ連れて行ってくれたインドからの移民であるUberの運転手に「バンクーバーの生活はどうだい?」と聞いてみると、「物の値段が高くなってやっていけない」との不満を聞いてから2日後のことでした。どこの国でも物価が上がり国民の生活が苦しくなってくると政治家が辞めざるを得ないのは同じのようです。

後任となる新しい首相は、カナダに対して「米国の51番目の州になるべきだ」と必ずしも冗談とも思えない発言をするトランプ次期大統領と相対し貿易交渉をしなければなりません。このトランプ氏の発言に対するカナダ人の反応はというと、先ほどのUberの運転手は「面白いジョークだ」の一言で片付けていた一方、多くのカナダ人は驚きや怒りを伴い冗談としても受け入れ難いという意見が多いようです。

トランプ氏は、米国にとって3大貿易パートナーである中国、メキシコ、カナダにはかなり厳しいスタンスで臨んでいます。日本は米国にとって貿易パートナー第4位です。トランプ新大統領が、そんな日本にどんな無理難題を言ってくるのか。冗談では済ませられないことが起きなければ良いなと心から願っています。