米国市場は下落の流れを反転させる良いニュースが続き、半導体祭りとなった一週間

S&P500は先々週1月12日(金)には4,800ポイントの大台に乗り、先週も上昇を継続するかと思われていました。ところが、1月16日(火)(先週1月15日月曜日はマーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デーのため休場)に、連邦準備制度理事会(FRB)のクリストファー・ウォーラー総裁が、「インフレ率の低下が持続するとはっきりするまで、中央銀行は基準金利の引き下げを急ぐべきではない」 とコメントを発表したことにより10年債券利回りは4%を超えて上昇に転じました。それまで市場は70%の確率で3月の利下げを予想していましたが、当該コメントを受け株価は16日(火)、17日(水)と連続して下がる展開となりました。

しかしその後の一連の半導体関連のポジティブなニュースがそんな流れを大きく変えたのです。半導体祭りとでも呼んで良いでしょう。

2024年の半導体市場全体としては前年比10%の拡大が予想されているなか、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング[TSM]は、20%台前半から半ばの売り上げの伸びが見込め、特に生成AIを含むハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)アプリケーションの第1四半期の需要は好調と発表。

また、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ[AMD]について、とあるアナリストは、AIに使用されるAMD独自のグラフィックス・プロセッシング・チップ、MI300Xの需要に大きな変化が見られるとコメント、AMDのGPUに対する需要は、事前の予想では30億ドルから40億ドルであったのに対し、80億ドルに達する可能性があると述べ、同社の株価は1月19日(金)に史上最高値を更新したのです。

メタ・プラットフォームズ[META]を始め、AI導入予定テクノロジー企業のニュースも上昇要因の一つ

テクノロジー関連についての良いニュースはここで終わりません。

先週1月18日(木)、メタ・プラットフォームズ[META]のザッカーバーグCEOは、自身のInstagramにて、同社のAIへの取り組みについて語り、将来のロードマップをサポートするために、2024年末までに35万台のエヌビディア[NVDA]のH100(GPU)を含む、大規模な計算インフラを構築していると発表したのです。

またサイバーソリューションを提供しているスーパー・マイクロ・コンピューター[SMCI]は、顧客のAI導入が増えており、12月期の売り上げの見通しが大幅に上振れすると発表、先週19日(金)に同社の株価は1日で36%も上昇しました。市場はエヌビディア[NVDA]のGPUに対する強い需要があると判断し、エヌビディア[NVDA]の株価も史上最高値を更新しています。

主要3指数とFANG+指数は史上最高値を更新。アップル株も上昇に転じる

また年明け早々アナリストの格下げを受け、株価が低迷していたアップル[AAPL]ですが、先週ある有力アナリストが、2024年か2025年には生成AI機能搭載のiPhoneが発売され、アップグレードサイクルの売り上げに貢献するだろうとの見解を示し格上げしたことにより、同社株も上昇しました。

このようなニュースのなか、先週のS&P500は1.17%上昇、ナスダック100は2.86%上昇、ダウ工業株30種も0.72%上昇、主要3指数共に史上最高値を更新しました。また、半導体の関連のポジティブなニュースを受け、フィラデルフィア半導体指数は先週7.98%上げ、こちらも史上最高値を更新しました。

エヌビディア[NVDA]、マイクロソフト[MSFT]、メタ・プラットフォームズ[META]と言ったFANG+指数に採用されている銘柄が史上最高値を更新したこともあり、FANG+指数も先週2.65%上昇、史上最高値を更新しています。

第4四半期の決算発表続く、今週はテスラ[TSLA]が注目か

今週も2023年第4四半期の決算発表が続きます。半導体、IT企業、特にこのところ株価が冴えない1月24日(水)発表のテスラ[TSLA]は注目です。今週の主要業績発表は以下の通りです。

1月22日(月)
ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス[UAL]

1月23日(火)
ディーアール・ホートン[DHI]、エリクソン[ERIC]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]、シンクロニー・フィナンシャル[SYF]ネットフリックス[NFLX]、テキサス・インストゥルメンツ [TXN]

1月24日(水)
ASMLホールディング[ASML]、 エーティー・アンド・ティー [T]、キンバリークラーク[KMB]、SAP[SAP]、シーエスエックス[CSX]、アイビーエム[IBM]、ラム・リサーチ[LRCX]、テスラ[TSLA]、ユナイテッド・レンタルズ[URI]

1月25日(木)
アメリカン航空グループ [AAL]、ダウ [DOW]、モービルアイ・グローバル [MBLY]、ノキア[NOK]、ノースロップ・グラマン [NOC]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、ユニオン・パシフィック[UNP]インテル [INTC]、ケーエルエー・コーポレーション[KLAC]、ビザ [V]

1月26日(金)
アメリカン・エキスプレス[AXP]、コルゲート・パルモリーブ[CL]