米証券取引委員会(SEC)が10日、現物のビットコイン上場投資信託(ETF)11本を承認しました。このところ承認が近いという思惑で、すでにビットコイン価格は上昇していましたので、セルザファクト(噂で買って事実で売る)的な調整には注意も必要ですが、ETF上場で、長期的にビットコインの価格水準が大きく切り上がっていくだろうとの期待も大きいですね。ETF上場で年金や保険金などを運用する機関投資家が、証券取引所を通じて簡単にビットコインを保有することが可能になったのです。

2004年にNY証券取引所に「SPDR Gold Shares(GLD)」ETFが上場してからの価格動向が良く引き合いに出されますが、ゴールドETF誕生後、実際に欧米の機関投資家はポートフォリオにゴールドを加える動きを加速させました。投資家がETFを購入するとその数量に相当する金の現物が市場から購入され倉庫に保管される仕組みですが、添付のチャートはETFを通じて機関投資家からがアセットクラスに加えているゴールドの数量の推移。足元では米金利高でゴールドETF市場からは資金流出が続いていますが、それでも3,000トンを超えるゴールドを保有しています。ETF上場以降、根雪のように積み上がって来たゴールドETFの残高推移とゴールド価格の相関が高いことが窺えます。

ビットコインが債券、株、REIT、コモディティといった伝統的アセットクラスと並ぶ分散投資の選択肢のひとつになりました。ゴールドの場合は株や債券といった伝統的アセットクラスとは異なる値動きをする「ラストリゾート」としての役割が期待されている側面が大きいですが、ビットコインはどのような位置づけとなっていくでしょうか。ますますその値動きから目が離せなくなりました。

【図表】ゴールドETFの残高推移とゴールド価格(2004年から)
出所:ワールドゴールドカウンシルのウェブサイトより