2023年は様々な逆境のなか、世界的に株式が上昇した1年
明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
2023年は世界的に株式が上昇した年でした。市場のコンセンサスは、米国経済はリセッション入りし、株価は大きく下落するというものでしたが、実際はというと、2023年前半の国民総生産は年率2%を超え、第3四半期には4.9%へ加速したのです。米国では政策金利の利上げは続く中、ロシアによるウクライナへの侵攻は終焉に向かう気配もなく、3月にはシリコンバレーバンクの破綻、中東ではイスラエル・ガザ紛争が起きました。
それでも先進国、新興国48カ国で構成される世界の株式市場全体のパフォーマンスを示すMSCIオールカントリー指標は20%上昇しました。
米国株市場はS&P500の史上最高値に切迫、Stay Invested、「投資を継続」の意義を証明
一方世界最大の時価総額を誇る米国株市場を代表するS&P500は2023年の最終取引日であった12月29日の朝方には4,793ポイントまで上昇、史上最高値である4,797ポイントにあと4ポイントのところまで迫ったのですが、史上最高値を更新することはできませんでした。それでも、2023年のS&P500は24.2%上昇、2021年来の上げとなり、米国株市場の強さを示した年でした。
一方、日経平均は28.2%上昇、米国株の上昇率を上回ったものの、円建てにしたS&P500はドル高の恩恵を受け33.6%上がっています。米国株は下がると思い、一旦売って、下がってから買おうとタイミングを測っていたらこのようなリターンは得ることができなかったはずです。ですから米国株については、Stay Invested、つまり、「投資を継続」することの大切さが証明された年でもありました。
また、米国の中でも、テクノロジー銘柄が半分以上を占めるナスダック100は円建てで65.4%の上げ、「マグニフィセント・セブン(※)」の7銘柄を含むFANG+指数については、同じ円建てで110.7%上昇、米国のグローバル企業の力強さを見せつけられた1年となりました。
(※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]の7銘柄
AI関連企業が脚光を浴び、市場全体を牽引した
2023年の米国株は改めてAI(人工知能)のテーマが注目された年でした。オープンAIによる生成AIが脚光を浴び、その技術を可能にするGPUの生産を行なっているエヌビディア[NVDA]は5月24日の決算発表でアナリストのコンセンサス予想を大きく上回り、株価は1日で24%上がりました。AIを可能にする技術を持ったエヌビディアだけでなく、AIの利用を提供するプラットフォームを保有するアマゾン・ドットコム[AMZN]のAWSや、マイクロソフト[MSFT]のアズール、アルファベット[GOOGL]のGCPも売り上げを伸ばし、株価も上昇しました。また、そういったインフラを活用しこれまでのサービスにAIを取り入れたセールスフォース・ドットコム[CRM]やサービスナウ[NOW]といった企業の株も買われました。このような銘柄が市場全体を牽引する流れとなりました。
GAFAMなどの大型株だけでなく小型株も上昇、市場の裾野を広げる
米国株市場を押し上げたのは、GAFAMなどの一部の銘柄であるという批判がある中、11月に入ると市場の裾野が広がっていきました。年初から下がっていた小型株指数のラッセル2000は、10月末から年末までの2か月間で22%上昇したのです。均等株指数のS&P500イコールウエイトもこの間16%上昇、S&P500の13.7%の上げを上回りました。
2024年は米国大統領選挙の年。年前半はマーケットの調整がある可能性
2024年米国では大統領選挙が行われます。歴史的に米国の大統領4年サイクルを見ると、選挙の年は4年間で2番目に米国株のパフォーマンスがしっかりしている年となっています。ただし、共和党と民主党が自分たちの大統領候補を選出するアメリカ合衆国大統領予備選挙が行われるまでは市場は落ちつかず、ボラティリティが高まる傾向があるため、マーケットの調整があるとすれば2024年の前半であろうと考えています。