モトリーフール米国本社、 2023年12月25日 投稿記事より
主なポイント
・歴史的に見て、株式分割の前には数年にわたる力強い成長が先行する
・アマゾン・ドットコムの成長は、Eコマース、クラウドコンピューティング、デジタル広告の好調に後押しされてきたが、今後はより多くの原動力が期待される
・AIがもたらす機会がアマゾン・ドットコムの将来性を一段と押し上げ、投資先としての魅力が増している
アマゾン・ドットコム[AMZN]:3つの成長機会
近年、株式分割が復活していますが、その魅力の理由は明らかです。歴史的に見て、株式分割の前には、長期間にわたる株価の大幅な上昇が先行します。
さらに、一貫した強固な成長は、事業運営が堅調なことと、経営が効果的であることの証拠であり、力強い株価上昇が今後も続く可能性が高いことを示唆しています。
この点については、ここ数年間で株式分割を実施した例を見れば明らかです。
エヌビディア[NVDA]:2021年7月に1対4の株式分割を実施。
アマゾン・ドットコム[AMZN]:2022年6月に1対20の株式分割を実施。
ショッピファイ[SHOP]:2022年6月に1対10の株式分割を実施。
アルファベット[GOOGL]:2022年7月に1対20の株式分割を実施。
テスラ[TSLA]:2022年8月に1対3の株式分割を実施。
株式分割を実施したこれらの銘柄はそれぞれ、2023年に市場全体をアウトパフォームしているだけでなく、さらに重要なことに、過去10年間で主要株価指数を何倍もアウトパフォームしています。
投資家は将来を見据えてこれらの銘柄を見直しており、それには理由があります。S&P500指数は最高値更新まで2%未満という水準にあります。直近の底値から20%超上昇していることもあり、これは新たな強気相場の始まりを意味します。
1957年まで遡ると、強気相場は平均で5年続き、その間の上昇率は169%を上回りました。上げ潮はすべての船を持ち上げると言われることもあり、投資家は強気相場が始まるのを待ち望んでいます。
上記で挙げた銘柄にはそれぞれ、買いを推奨する強力な根拠がありますが、現時点で最も魅力的に見えるのはアマゾン・ドットコムかもしれません。足元の株価は175ドル未満と、個人投資家の手に届かない価格ではありません。また、アマゾン・ドットコムの株価は、2022年に株式分割を実施するまでの10年間で1,000%超上昇しています。
しかも、アマゾン・ドットコムをめぐっては、今後数ヶ月、あるいは数年間のうちに株価を大きく押し上げる可能性のある機会あるでしょう。
Eコマースの覇者
Eコマースにおけるアマゾン・ドットコムのサイトは、世界中で最も訪問者の多いオンライン小売サイトであり、データプロバイダーのスタティスタによると、月間訪問者数は約32億人に上り、米国のオンライン小売売上高全体の38%を占めています。なお、第2位はウォルマート[WMT]で、シェアは約6%です。
マクロ経済の逆風により一時足踏みしましたが、スタティスタによると、世界全体のオンライン小売売上高の成長は今後加速し、2023年の3兆ドルから2028年には5兆ドルと、年平均成長率は10%に達する見通しです。
Eコマースのリーダーであるアマゾン・ドットコムは、景気回復の恩恵を受けるのに絶好の位置に付けていると考えられます。
業界トップシェアのクラウドコンピューティング、AI導入で更なる恩恵
アマゾン・ドットコムは、クラウドコンピューティングのパイオニアであり、今でも業界のリーダーです。アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は世界をリードするクラウドインフラサービスであり、市場分析会社カナリスによると、2023年第3四半期に世界全体で31%のシェアを占めました。マイクロソフト[MSFT]のアジュールやアルファベットのグーグル・クラウドなど、競争が激化しているにもかかわらず、AWSは業界トップの地位を維持しています。
景気後退の中、クラウドコンピューティングは、ペースは落ちたものの成長し続けています。経済を取り巻く暗雲が晴れれば、成長は再び加速するはずです。調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイツによれば、世界のクラウド市場は2023年に6,780億ドルに達し、2030年には2兆4,000億ドルになると予想されています(年平均成長率20%)。
アマゾン・ドットコムは以前から、業務改善のためにAIを導入しており、こうした高度なアルゴリズムを使ってお勧め商品の提案、在庫予測、配送ルートの計画など、さまざまなことを行っています。
同社はまた、最近のAIブームの最前線にいて、最新の生成AIをはじめとする幅広いAIサービスをクラウドの顧客に提供しています。
クラウドインフラのリーダーであるアマゾン・ドットコムは、クラウドへの継続的なデータ移行やますます熱気を帯びるAI導入から恩恵を受けると思われます。
デジタル広告の急浮上
オンライン小売やクラウドコンピューティング、あるいはAIほど話題にはなりませんが、デジタル広告市場におけるアマゾン・ドットコムの影響力の高まりを見逃してはいけません。
Eコマースプラットフォーム上にとどまらず、同社は2024年初頭から、プライム・ビデオで「限定広告」の表示を開始する予定です。広告の表示を希望しない視聴者には、月額2.99ドルの追加料金で広告の表示をなくすこともできます。また、自社のインターネット・ムービー・データベース(IMDb)のサイトや、広告付き無料ストリーミングサービスのFreeveeを通じて、アマゾン・ドットコムの広告収入は増加が見込まれます。
デジタル広告は長い間、アルファベット[GOOGL]とメタ・プラットフォームズ[META]の2強に支配されてきました。それでも、アマゾン・ドットコムはここ数年で急浮上し、今では第3位に付けています。同社は徐々に足場を固めつつあり、市場調査会社インサイダー・インテリジェンスによると、2023年の世界におけるアマゾン・ドットコムのオンライン広告の市場シェアは7.5%と見込まれ、2025年には9.2%に上昇する見通しです。
インサイダー・インテリジェンスによると、世界全体のオンライン広告支出は2023年に前年比9.5%増の6,010億ドルとなり、2027年には8,710億ドルに達すると予想されています(年平均成長率約10%)。市場シェアの上昇に伴い、アマゾン・ドットコムは拡大する市場から、より大きな分け前を得ることになるでしょう。
魅力的な投資機会
以上のように、アマゾン・ドットコムをめぐっては多くの好材料があります。Eコマース市場とクラウドコンピューティング市場における優位性、AIによってもたらされる大きな可能性、デジタル広告市場における影響力の拡大など、すべてを総合すると、同社を待ち受ける機会は膨大といえるでしょう。
最後にもう1つ。現在、アマゾン・ドットコムの予想株価売上高倍率(PSR)はわずか2倍であり、過去3年平均の3.5倍を大幅に下回っています。つまり、株価が最近上昇したとはいえ、過去の水準と比較すれば依然として割安なのです。アマゾン・ドットコムが来たる強気相場の波に乗り、最高値更新に向かって上昇する可能性は十分にあり、足元の割安がいつまでも続くと思わないほうがいいでしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。フェイスブックの元市場開発担当ディレクター兼スポークスマンであり、メタ・プラットフォームズのMark Zuckerberg CEOの姉であるRandi Zuckerbergは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケット元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Danny Venaは、アルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、ショッピファイ、テスラの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、エヌビディア、ショッピファイ、テスラ、ウォルマートの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。