株価が下げない理由と上値を追えないでいる理由
米国株式市場ではNYダウ平均に続きS&P500も年初来高値を更新した。一方、日経平均は先週末まで12営業日連続で3万3000円台でのもみ合いに終始している。上値が重い、と見るか、底堅いと見るか、二通りの解釈が可能だが、日本株のファンダメンタルズは悪くない。中間決算一巡後の上場企業の業績は二桁増益に上方修正され3期連続の最高益が見込まれている。この好業績を反映して日経平均の予想PERは15倍弱である。現状の株価は業績面から見れば、極めて適正な水準にある。これが株価が下げない理由の最たるものだ。
一方で、テクニカル的には短期急騰の過熱感を冷ます必要がある。これが株価が上値を追えないでいる理由だ。11月の日経平均は月間で2,628円(9%)上昇した。月間の上げ幅は3年ぶりの大きさになった。特に11月前半の上昇ピッチが速く、日経平均が3万3000円台に乗せた15日時点で25日移動平均との乖離率は5%を越えた(しかも同日で4つ目の「窓」を空けた)。しかし、3万3000円台の滞留がすでに12日間に及び、同乖離率は2.5%まで縮小した。テクニカル面での過熱感は相当程度払しょくされたと見てよいだろう。
今週末は重要な局面、年末ラリーに突入するか、下放れするか
今週末に米国の雇用統計を控え、また今週も様子見で株価が動かないとすれば、日経平均については、いよいよ25日線が下から接近してくる。いわゆる「煮詰まった」状態となり、上でも下でも相場が「放れる」頃合いだ。このタイミングで今週末に今年最後のメジャーSQを迎える。ここで上に放れて米国株を追随し、年末ラリーに突入するか、あるいは下に放れて3万3000円の大台を割るか、非常に重要な局面である。基本観は上へ放れると見ているが。
懸念材料は円高への揺り戻し
懸念材料は足元で起きている円高への揺り戻しだ。東京証券取引所が発表した11月第4週の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物で5週ぶりに売り越しに、先物でも3週ぶりの売り越しに転じた。円高は海外投資家にとっては日本株投資の魅力を高める材料になるので、それほど気にする必要はないと思う。為替相場も週末の雇用統計次第ではドルが買い戻される可能性もあり、一本調子の円高は進まないだろう。
週末のSQという波乱要素に鑑みてレンジは広くとる。
予想レンジは3万2500円~3万4000円とする。