米ドル/円 週間予想レンジ:147.00~150.00

メインストラテジー:戻り売り

・トップアウトを確認
・下値支持は残存
・次の材料待ち

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週一旦147.15円をトライし、10月3日安値を下回った。その後大きく切り返して大引けしたものの、頭打ちの構造を示し、米ドル高サイクルのトップアウトを暗示した。

ここで、もっとも重要な視点として、11月13日の高値更新自体が「フォールス・ブレイクアウト」、即ち「ダマシ」であったことを挙げたい。2022年と異なり、日銀の為替介入なしのトップアウトはより蓋然性があり、また支配力のあるサインと見なされる。

つまり、先週の続落は、先々週に続き、10月31日の大陽線の安値を割り込み、さらに10月3日の安値を一旦更新していたため、トップアウトの構造を鮮明化させたわけだ。

先週のコラムで解説した通り、米ドル/円相場は先々週再度高値更新したものの、そこから反落し、頭の重い構造を示唆した。一旦151.95円の打診があり、2022年高値とほぼ同じレベルまで上昇したが、その後米消費者物価指数(CPI)の低下を受けて失速し、149.59円の大引けでかえって頭打ちの可能性を暗示した。

そもそも10月31日の大陽線が強烈な存在であった。その後市況が上下しながらも、11月10日まで前述の大陽線と「インサイド」のサインを形成し、11月13日に同「インサイド」を一旦上放れしたものの、翌日の11月14日にたちまち失速、「フォール・ブレイクアウト」の可能性を示唆した。

プライスアクションの視点としては、年初来高値の更新を重視しているものの、更新後の値動きをより重視している。この意味合いにおいては、前述のように、一旦「インサイド」のサインが否定された後、その上に定着できず、また反落してきた場合は「ダマシ」の可能性が大きく、先週の大幅続落はその決定的証拠となった。

なにしろ、10月3日の大陰線は、前の罫線に対して「アウトサイド」、後ろの罫線に対して「インサイド」を形成し、「母線」としての役割を果たした。同サインが「Ioi」と表示され、ブレイクがあれば、次なるトレンドへ寄与する存在と見なせるが、重要な節目において、ブレイクした後に早期逆転される場合は、そのブレイク自体が「ダマシ」となり、かえって頭打ちを示唆する存在と化すため、先週同日安値の割り込みは、重要なサインを灯したとみている。

ただし、日銀緩和政策自体が維持され、頭打ちがあったとしてもすぐに円が積極的に買われる展開にはならないだろう。当面支持ゾーンの残存も想定されるため、次なる材料待ちということで、弱含みの保ち合いが継続される見通しである。

豪ドル/円 週間予想レンジ:98.00~100.00

メインストラテジー:押し目買い

・支持ゾーンはしっかりした足取り
・上値志向は強く堅実
・豪ドル/米ドル次第で高値追い

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週一旦96円後半の支持を確認してから再上昇した。豪ドル/円の上昇志向が強く、しっかりした足取りを見せてくれた。

週足では陽線で大引けしたものの、先々週の値幅を超えられず、週足では「インサイド」のサインを形成した。先々週は一旦98.69円をトライし、2014年12月以来の高値更新を果たしたため、遅かれ早かれ100円心理大台の打診ありとみなし、強気スタンスを維持するだろう。

先々週の罫線は、一見して「スパイクハイ」のサインを灯し、上値が重いと思われた節もあったが、この前の状況と総合的に判断すれば、むしろ逆の見方、即ち強気変動の証拠として受け止めた。先週の陽線引けはその一環と見なせる。

11月第2週の一旦反落は、陰線で大引けしたものの、途中調整としてむしろ歓迎され、これからの上昇波を健全化させる存在であった。そして、これまでの市況は全くその通りの展開となった。豪ドル/円は、年初来高値更新を果たし、上値余地の一段拡大へ繋がるだろう。

そもそも10月最終週は大きく続伸し、9月高値のブレイクを果たしたため、上放れを決定した。先々週の一旦年初来高値更新で出遅れたロング筋の一段参入が想定されただけに、週足における「インサイド」が上放れされるだろう。

なにしろ、ここまで散々地合いを固めてきた。10月第3週までの保ち合いで、やや波乱しながらも、堅調な推移を維持した。同週までの直近3週間で、10月第1週(10月2日~)の大陰線に「孕まれる」形となったため、あくまで中段保ち合いの一環との位置付けだったが、10月最終週の大陽線はブレイクのサインとして一層重要であったわけだ。

要するに、上放れのサインが本物であった分、先々週の高値更新があってもなお途中経過であるため、余計な解釈は不要だ。ここからは押し目買いか、高値追いかの違いはあっても、強気構造に便乗するスタンスは変わらない。そのため、今週も同じスタンスで臨みたい。豪ドル/米ドル次第では、高値追いもあり得るだろう。

豪ドル/円は、理論上では97円大台の再打診があれば、99~100円といった新たなレンジの上限にトライできるため、すでに97円以上の定着が確認できる中、早期に100円大台への打診があるだろう。