「骨太の方針」で財政規律への懸念が拡大=円売り再燃

最近の円安は、日本の財政規律への懸念に伴う債券売り、円売りの影響が大きいとみられている(図表1参照)。そうした観点からすると、「骨太の方針」は財政規律への懸念を払しょくできるかを巡る大きな焦点となっていた。

【図表1】米ドル/円と日本の長期金利(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

今回の「骨太の方針」は、6月末に原案が明らかになった頃から、むしろ財政規律への懸念を強めることとなった。これまで使ってきた「財政健全化」という表現の削除や、日銀の利上げを遅らせかねないとの疑念の浮上などが、債券売り、円売りの理由となっていたからだ。その上で、今回の閣議決定により、財政規律への懸念を再確認したとして改めて円売りが強まったと考えられる。

介入再開はいつか?=消費税減税など円売り要因一巡を見極める

対米ドルでの円相場は、この間の安値の162.8円を更新し、163円台に突入した。これに対して、ゴールデンウィークに円安が160円を超えるとすぐに円安阻止の為替市場への介入に動いた当局は、これまでのところ介入再開を見送っているとみられている。なぜ、円安が大きく広がる中でも介入に動かないのか。

「骨太の方針」については今回で一段落となったものの、財政規律との関係で個別に大きな焦点になりそうな消費税減税については、8月上旬まで決定が先送りとなった。円買い介入を再開し一時的に円高へ戻しても、消費税減税などを受けて財政規律への懸念に伴う円売りで円安が再燃すると、介入効果が帳消しになってしまう懸念がある。そのため、介入再開を控えた可能性はありそうだ。

また、来週(7月27日週)は日米の金融政策発表が予定されている。これで円売りまたは米ドル買いが再燃した場合、その前に介入により円高へ戻しても、せっかくの介入効果も帳消しになってしまうリスクがあるだろう。

円安阻止介入を当面見送る可能性はあるのか?

では、今回の「骨太の方針」により財政規律への懸念払しょくとならなかったことで、「円安の流れを変えることは困難」として、円安阻止介入を当面見送るとの政策方針が変わったということはあるだろうか。

7月中旬に公表されたNHKの世論調査では、円安が日本経済に悪影響との回答が6割で、好影響との回答の2割を大きく上回った。こうしたことから、当局は160円を大きく超える円安は国内的に許容できないとの判断があるとみられ、それが大きく変わる可能性は低いのではないか。そうであれば、日米金融政策発表や消費税減税など円売り材料になる要因が一巡したタイミングで、円安阻止介入を再開する可能性はあるのではないか。

例年、8月から夏期休暇が本格化する前に、過大なポジションを一旦手仕舞う動きが広がりやすい。投機筋のポジションは足下でも円売りに大きく傾斜した状況が続いているとみられることから、介入再開をきっかけにポジション調整の円買い戻しが広がることで円高に戻す可能性はある。当局も介入再開において、それを意識しているのではないか(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成