モトリーフール米国本社、2023年11月19日 投稿記事より

主なポイント

・誰もが知っている超大型株に頼らなくても、AIブームに投資することは可能
・レモネードのAIを活用したビジネスモデルは、保険業界を再構築している
・サウンドハウンドAIは、AIを活用した音声認識で豊富な経験があるにもかかわらず、ウォール街のレーダーで捉えられていない

2023年、マグニフィセント・セブン銘柄は驚異的に株価が上昇

「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる銘柄(アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]、メタ・プラットフォームズ[META])は、どれも素晴らしい企業です。現在進行中の人工知能(AI)革命を先導し、米国で普通に暮らすならこれら7社のうち少なくとも5社以上と関わらずに過ごす日はないと思うほどです。社名の頭文字を取って「MAMA ANT」と呼ばれることもあるこれらの7銘柄は、2023年に驚異的に株価が上昇しました。

しかし、そこに問題があります。マグニフィセント・セブン銘柄は11月15日時点の年初来上昇率が45~235%と、市場でもこれら7銘柄は、時価総額がトップクラスの企業ばかりで、一番小さいのがテスラ[TSLA]の7,720億ドルです。

未開拓で可能性を秘めた、目立たないAI銘柄に注目する

すでに空前の高値にあるマグニフィセント・セブンの超大手企業以外で、一流のAI銘柄に投資するにはどうしたらよいでしょうか。幸いなことに、株価がそれほど高値ではなく、市場規模も比較的小さい、有望なAI銘柄はたくさんあります。

以下では、魅力的なAI銘柄3社に注目します。

サウンドハウンドAI[SOUN]

サウンドハウンドAIは、最近では主に、自動車メーカーやファストフードチェーンといった企業向けにAIを搭載した音声認識サービスを提供しています。同社のツールは、自動車が運転者の音声コマンドに反応したり、ドライブスルーの注文を間違いなく受けたり、電話の自動音声案内に対応したりするのに使われます。応答は生成AIシステムによって生成され、チャットボットサービスのChatGPTの音声に特化したバージョンのようなものです。

顧客リストを見ると、ターゲット市場である自動車メーカーにとどまりません。例えば、画像共有アプリを運営するスナップ[SNAP]は、サウンドハウンドAIのソフトウェアを使ってユーザーが投稿する動画に自動でキャプションを付けるサービスを提供しています。また、ストリーミングサービスを手掛けるネットフリックス[NFLX]は、メディアストリーミング・セットトップボックスのリファレンス設計にサウンドハウンドAIの音声インターフェースを採用しています。

サウンドハウンドAIは2022年4月に、特別買収目的会社(SPAC)と合併して株式市場に上場しました。AI市場が突然過熱する中、上場から日が浅いこともあり、多くの投資家はサウンドハウンドAIをビジネス界の子犬のように見ています。

しかし、同社が設立されたのは2005年で、当初はスマートフォンを通じて楽曲を特定するサービスが主体でした。これは、アップル[AAPL]が2018年に4億ドルで買収した「Shazam」と似たようなサービスです。このサービスは、収益性の高いビジネスではありませんでしたが、サウンドハウンドAIが音声分析のための機械学習ツールを向上させ、現在の企業向けサービスの基盤を築くことにつながりました。

しかし、サウンドハウンドAIの状況は多くの点でスタートアップ企業のように見えます。収益源は小さく、不安定で、一部の大型契約に大きく依存した事業運営です。SPACとの合併による新規株式公開(IPO)で得た1億1,800万ドルを財源に、新規顧客の開拓が可能になりましたが、それまでの企業資金はわずか1万8,000ドルしかありませんでした。

ケイヴァン・モハジャーCEOはSPACとの統合が完了した際に、「上場企業になることでチャンスが広がり、業界を超えた顧客やパートナーと協力し、私たちを取り巻く世界を音声対応化するというミッションを継続する、新たな扉が開かれます」と語りました。

同社の探求は続いています。先日発表された2023年第3四半期売上高は1,330万ドルに増加し、純損失は40%減少しました。受注残は3億4,200万ドルあります。言い換えれば、サウンドハウンドAIは、健全で成長する事業のあらゆる兆候を示しているのです。

しかし、投資家からは注目されていません。株価は年初来で26%しか上昇しておらず、SPACとの統合時からは85%も下落しています。サウンドハウンドAIへの投資を考えているのだとすれば、AIエキスパートの株式の足元の低い株価は好ましいことでしょう。

レモネード[LMND]

AIを活用した保険サービスを手掛けるレモネードは、現在の市場環境の中では目新しい選択肢かもしれません。レモネードのAIツールは巨大な保険市場を破壊再構築し、業務における人的エラーを排除する可能性を秘めています。この可能性はまだ実現していませんが、確実に前進しており、売上高の増加という形で現れています。レモネードの優れた点は、その目の付け所です。

株価はこれまで3年近く、ほぼ一貫して下落が続いていましたが、現在は年初来で18.4%上昇と、S&P500指数とほぼ同程度のパフォーマンスであり、回復の兆しが見えてきました。投資家もようやく、レモネードを認め始めたようです。それでも、株価は依然として、2021年初頭に付けた過去最高値から90%超下落しています。

しかし、レモネードに投資する本当の旨味は、売上高の爆発的成長にあります。過去12ヶ月間の売上高は、2021年第3四半期末時点の9,750万ドルに対して2023年第3四半期末時点では4億270万ドルと、4倍に増加しています。一方で、AIシステムが学習し続け、保険金請求の査定や見込み顧客の評価が向上するにつれて、粗利益(損失)率は低水準で安定しており、懸念するほどのレベルではありません。

こうした素晴らしい実績にもかかわらず、レモネードのバリュエーションは依然として控えめで、株価売上高倍率(PSR)はわずか3.4倍です。業績の急成長と相対的に低いバリュエーションというミスマッチは、過小評価されているグロース株に投資することでポートフォリオにピリッとしたひねりを加えたい投資家にとって、絶好の機会を示しているのかもしれません。

NXPセミコンダクターズ[NXPI]

オランダ系半導体メーカーのNXPセミコンダクターズの株価は、年初来で27%上昇しています。現在の株価収益率(PER)は18.6倍、PSRは3.9倍と、手頃なバリュエーションとなっています。

同社は産業機械向けコントローラーチップ、モバイル機器や決済システム向けの通信・識別プロセッサー、電気自動車(EV)バッテリーのような過酷な環境で使用されるパワーコントローラーといった重要分野におけるリーダーです。

AIとは関係がないように思えるかもしれませんが、自動化された産業機械はAIソリューションの主要市場であり、NXPセミコンダクターズはまさにそのためのチップを提供しています。スマートフォンなどのモバイル機器は、AIをベースとしたさまざまな機能が次々と追加されており、NXPセミコンダクターズの半導体はそうしたプロセス全体に、高度なセキュリティと信頼性を提供しています。そして、巨大なEVバッテリーは、セルの過熱、劣化、その他性能のばらつきに対して電力フローを常に微調整しており、常に起こり得る電力供給問題に対して機械学習による予測能力が存分に発揮される分野です。

NXPセミコンダクターズは、直接的な意味による分類では、典型的なAI銘柄とは言えないかもしれません。しかし、同社はあらゆるところでAIシステムを動かし、サポートする重要な役割を果たしており、こうした分析力の重要性は今後数年間でますます高まる可能性に満ちています。また、NXPセミコンダクターズは、AIとの関係の有無にかかわらず、優れた投資のアイデアと思われます。世界トップクラスのチップメーカーで、NXPセミコンダクターズほどの控えめなバリュエーションで買える銘柄はそう多くないでしょう。世界レベルのチップメーカーのほとんどは、AIをめぐる熱狂で株価が急騰しています。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Anders Bylundは、レモネード、NXPセミコンダクターズ、ネットフリックスの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアップル、レモネード、ネットフリックス、テスラの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はNXPセミコンダクターズの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。