パウエルFRB議長のタカ派的なスタンスからの方向転換の発言に市場は好感
10月売られすぎた米国株ですが、先週は大きくリバウンド、これまでマイナスだった第4四半期のリターンはプラスに転じました。
そのきっかけとなったのが、先週11月1日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が、彼らの引き締めの仕事は終わったかもしれないというメッセージを発信したことでした。マーケットはこれまでのタカ派的なスタンスからの方向転換が見え始めたことを好感し、金利が下落を始め、米国株、債券、クレジット市場が大きくラリーしました。
先週S&P500は5.85%上昇、グロース株の多いナスダック100は6.48%の上げとなりました。これまでの金利上昇の局面で激しく売られて来たグロース株は、金利の下げを辛抱強く待っていたわけですが、今回大きくリバウンドしています。今回の上げをサポートしたのは、悲観的な投資家が多かったことも挙げられるでしょう。
米国個人投資家協会が毎週発表するブルベア指数のベア(弱気)の投資家の比率は先週50%を超え、投資家の弱気感は1年振りにピークに達していたのです。投資家のセンチメントが悪い中、パウエル議長の発言はマーケットに安堵感を与え、市場をさらなる下落から救ったのです。
アップル[AAPL]、来期の見通しは市場予想を下回る
11月2日(木)の引け後には、GAFAM最後のアップル[AAPL]の決算発表が行われました。今回の発表は事前予想を上回ったものの、来期の見通しが予想を下回り株価は発表後に売られました。世界の株式市場で最大の時価総額を誇るアップルの決算発表は、通常マーケットに大きな影響を与えるのですが、今回はパウエル議長の発言を発端とする金利の下げのインパクトの方が大きかったのです。当初2%下落したアップルの株価は、最終的に0.52%の下げに留まり1週間を終えました。
米雇用統計は市場予想を下回ったが、マーケットは好感
3日(金)の雇用統計は事前予想を下回ったのですが、マーケットが求めていたのは利下げのための言い訳ということで、マーケットはこのニュースを好感したのです。これまで本来なら経済にとって良いニュースは株価にとって良いはずなのですが、マーケットの反応はこのところ逆の反応を示していました。今回はこれまでの逆、つまり、経済にとって悪いニュースをマーケットは好感し株価が上昇したのです。
第3四半期の決算発表、前年比で2.86%の増益
第3四半期の決算発表はピークを過ぎました。S&P500企業のうち402社が決算発表を終えています。その結果はというと前年比で2.86%の増益、10月13日時点の0.5%の減益を上回っています。65%の企業は事前予想を上回っており、こちらもマーケットの上昇をサポートしています。
マーケットが上昇に転じるためには、S&P500の4,200〜4,250のレンジを超え、13週・26週の移動平均線を抜けるかが鍵
先週末のS&P500は4,358.34ポイントで引けました。テクニカルで見ても先週S&P500は40週間の移動平均線(4,257)を超え、強気のシグナルが出ています。注意すべきは、S&P500が4,354〜4,362ポイント(13週間の移動平均線の辺り)、4,375〜4,402ポイント(26週間の移動平均線の辺り)を抜けてくるのか、という点です。