今、ロンドンにいます。と云うか今日ロンドンに着きました。朝方は氷点下まで行ったとのことで、寒いです。4日ほどの予定で、いくつかの用事をこなします。
UK・ヨーロッパ行きの飛行機は、ロシア上空を飛べなくなったために、日本を出てから北西に行かずに北東に行って、北米大陸の北を通り、グリーンランドの上空を飛んで欧州に入っていくというルートを通るため、以前より3~4時間飛行時間が長くなっています。これがキツい。私の場合ニューヨーク便には慣れていますが、反対方向に飛ぶ便には慣れていないというのもあるかも知れません。ま、折り合いを付けるしかしょうがないので、うまくカラダを合わせて、予定を、或いは予定以上のことを、ロンドンで実行したいと思います。
さて、今日の本題はこのロンドンではなく、京都のお寺での或る経験について。
月曜の朝に東京を発ったのですが、日曜日は京都で或る法要、伝統的な行事に参加しました。阿弥陀如来と二十五菩薩の来迎を、リアルに再現するものなのですが、阿弥陀如来の化身である大地蔵菩薩役を務めさせていただきました。菩薩の中に入る、菩薩に成り代わるという経験、お堂の中で大勢の僧侶の方と密教行事に参加する体験。本の名前を忘れたのですが、山田風太郎が書いた信長の時代の密教の勤行、あの或る意味異次元の世界の真っ只中に自分がいる。得難い体験をしました。
やってみる前よりも、実際にやってみた後の方が、ずっと重くて深い感触が、私の心と頭の中にあります。大地蔵菩薩役になるには、立派な衣装を着るだけでなく、お面を被ります。そして小さな目の穴から、外界を見ます。宗教は眼鏡のようだ、と云った人がいます。違うレンズで見ると、世の中は違って見える。お面の中から見る世界は、普段の私とは違う世界だったかも知れません。そのような「異なる」経験をする、文字通り異なる視点で世界を見る、と云うことは、現代のように様々な価値観がぶつかり合って問題を起こしている時代には、必要なひとときかも知れません。とても良い経験をさせていただきました。
違う眼鏡、違うお面を被るような視点は、意識の持ち様ではいつでも出来るかも知れないとも思われ、実践を試みたいと思います。