「歴史的に弱い9月の米国株」今年は止まらない原油価格高騰も影響
忌々しい9月のマーケットが終わりました。先週のS&P500は0.74%の下げ、ナスダック100は0.1%上昇しました。歴史的に9月の米国株は、1年間で最も下がりやすい月というアノマリーがありますが、2023年も例外でなく、9月の1ヶ月でS&P500は4.87%下落して終わりました。ナスダック100については5.07%の下げとなりました。
もちろん株価を下げた原因はアノマリーだけではなく、FOMC、そしてパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が示した今後の金融政策に対する懸念です。
原油価格の上昇もインフレ懸念をもたらし、金利を上げ、マーケット全体を押し下げた要因の1つと言えるでしょう。9月初旬にサウジアラビアとロシアが、一日あたり130万バレルの減産を年末まで延長すると発表、8月末に83.68ドルだったWTIは85ドルを抜け、先週には95ドルをタッチしました。WTIが95ドルを超えたのは2022年8月来のことです。
ストライキ、米国政府閉鎖一時的に回避、しかしリスクは引き続く状況
9月15日に始まった40%の賃上げを求めるUAW(全米自動車組合労働)のストライキは、これまでのところ直接マーケットに影響は出ていません。バイデン大統領が先週組合員に会いに行きましたが、いまだ合意に至る気配すらありません。
一方、もう一つのヘッドラインリスク(ニュースなどの見出し=ヘッドラインで相場が急変するリスク)であった米国政府閉鎖については、10月1日日曜日の期限を数時間後に控えた土曜日に、11月17日まで政府機関の運営を維持するための妥協案を上下院両院で可決、一時的な時間稼ぎではあるものの、当面の連邦政府機関の混乱を間一髪で回避したのです。バイデン大統領が約束したウクライナへの新たな資金提供は含まれていません。両党の交渉はこれからも続きます。
上昇の傾向がある10月、第3四半期決算発表の業績改善に期待
マーケットは9月下落しましたが、10月は歴史的には上昇に転じる傾向にあります。
1928年からのデータを振り返ると大統領就任3年目の10月にS&P500が上がる確率は61%となり、9月の39%から大きく上昇します。10月の平均上昇率は0.9%です。2023年10月はバイデン大統領就任3年目となります。アノマリーだから株価が上がるというものではないものの、無視はできない歴史のデータではないかと思います。
10月からのマーケットの方向性を決めるイベントは、第3四半期の決算発表です。今回の業績は、前年同期比で0.97%の減益となる予想で、前回の7.1%の減益から大きく改善する見込みです。
いつもと同じように10月13日のJP・モルガン・チェース[JPM]の決算発表が、銀行セクターの皮切りであり、11月終わりまで続く第3四半期の幕開けとなります。