先週の上海総合指数と深セン総合指数ですが、週前半は軟調だったものの、その後下げ止まり、最後に急上昇という展開でした。まず、中国国家統計局は4月15日(月)、中国の2013年第1期の国内総生産(GDP)の成長率が前年同期比7.7%増となったことを発表しました。しかし、これは2012年第4四半期の7.9%増や市場予想の8.0%増を下回る内容でした。また、3月の鉱工業生産が前年同月比8.9%増と2月の9.9%増から落ち込んだことも株式市場にはマイナスでした。中国経済のスローダウンを示すこれらの経済統計により15日(月)に株価は大きく下落しました。
ところが、その後は低調なGDPによって、逆に中国の金融政策が緩和されるのではないかという思惑が拡がり反発。そして4月19日(金)には出来高を伴った大きな上昇となりました。19日(金)の急上昇の材料としては、RQFII(人民元適格外国機関投資家)の限度額が2,000億元追加されると一部のマスコミが改めて報道したことで(一時報道されていたが、その後立ち消えになっていた)、中国政府が外国人投資家への投資枠拡大などの新たな株式市場支援策を打ち出すのではないかとの期待感が膨らんだことです。今後、中国政府が具体的な政策を打ち出すかどうかはわかりませんが、ともあれ、上海総合指数のチャートを見てみると、200日移動平均線が下値抵抗線となり、綺麗に反発した形になりました。今後は50日移動平均線までの反発が予想されるところでその後、50日移動平均線が上値抵抗線となるか、それとも50日移動平均線を上に突き抜けて上昇できるか注目が集まるところです。
もっとも、今週の上海総合指数と深セン総合指数は4月20日(土)に中国四川省で発生したマグニチュード7.0の地震により、再び軟調となる可能性があります。また、この影響が収まったとしても、上海総合指数が50日移動平均線を上に突き抜けて上昇していくには、株式市場支援策なり、景気刺激策なり、なんらかの政策が必要なところです。しかし、低調な第1四半期のGDP成長率を受けても、中国政府の高官からは、2013年のGDP成長率目標は7.5%増であり、7.7%増の実績で成長を刺激する必要はないのではないか?といった内容の発言が相次いでおり、現在のところ新しい刺激策は期待しにくいところかと思います。
コラム執筆:戸松信博