政策金利は5.25-5.5%に据え置き。物価見通しは2026年2%を予想
現地9月20日に米国のFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、政策金利は5.25-5.5%に据え置かれました。また声明文では、言い回しに多少の変化はあるものの総じて堅調な景気認識であり、全体としてほぼ変化はありませんでした。
今回は3ヶ月に1回の経済予想が以下の通り示され、足元堅調な景気を反映する形でGDP、失業率が修正されております。特に失業率は2025年の数値も修正されるなど構造的に低位な状況が予想されています。
同時に物価見通しも公表されますが、足元の物価動向が反映されたものの大きな変化はなく、新たに示された2026年に物価・コア物価共に目標の2%に落ち着くとの見方です。
金利見通しは0.5%引き上げで高水準の金利が長期化
今回サプライズとなったのがFRB当局者による政策金利の見通しです。以下中央値になりますが、今年は年内あと1回の利上げが見込まれている点はこれまで同様です。一方で市場では来年にも断続的な利下げが予想されていたものの、今回の予想では2024年、2025年の水準は0.5%引き上げられ、予想以上に高水準の金利が長期化します。
FOMC直後の市場反応は小動きながら、その後のパウエル議長記者会見を経て株安・金利上昇・ドル高となりました。
その会見ですが、これまでと同様のスタンスが示された印象です。政策金利は到達すべきところにかなり近づいているとし、労働市場の落着きからインフレも緩やかになっている点、それでも目標の2%までは長い道のりにあり、同時にエネルギー価格上昇にも言及しながら引き続きデータを重視し適切とあればさらに金利を引き上げるとしました。
金利引き締めによるインフレ抑制、今後は景気鈍化を確認する局面
これまで同様にタカ派ながら、金利は断続的な引き上げ局面を終え、どの程度高水準を維持するかに照準がシフトする中で、市場は来年以降の政策金利が0.5%引き上げられた点を消化する動きを示しています。また、FOMCメンバーの政策金利見通しを見ると2025年であれば下は2.5%近辺から上は5.5%超となるなど、今後の見方が大きく分かれているようです。
FRBは金融引き締め効果としてインフレ圧力が緩和していくと予想しており、今後は堅調な経済もむしろ鈍化することが歓迎されます。上述の通り先行きの見方が大きく分かれるなか、更なる引き上げでは無くどの程度金利が低下するかが焦点です。金利は不安定な動きにありますが、景気の鈍化は金利上昇圧力の緩和に繋がることから、中期的に現在の債券には投資妙味があります。本来成長が原動力となる株式市場は、本格的な上昇に向けては景気の鈍化度合いや景気サイクルの好転を確認する局面となるでしょう。